「俺、大江千里っぽいって言われちゃったんだよね……」
もう10年以上前だろうか、マイ実兄がそんなことを嬉しそうにつぶやいたことがあった。
「……ふーん」
私はにぶく反応したような記憶がある。

兄は理系で眼鏡をかけていた。ちなみに母も父もかけていたので、家族中メガネだった。私自身は目がよかったのだけれど、眼鏡はいつも、空気のようにそこらにあって、スペシャルなアイテムではなかった。

なので、その発言が「のろけ」であることに気がついたのは、ずいぶんと後だった。
兄のお嫁さんになったひとが、大江千里ファンだったのです。
大江さんは確かに当時、サワヤカ眼鏡好青年の最高峰だった。しかし、別にうちの兄ちゃんとは（顔は）似てなかった。けども、もしかして眼鏡って人生を左右する、でかいモテアイテムなのかもしれないな、と、そのときちょっと、初めて思った、ような、気がします……。

（text by 大塚 幸代）

で、時は流れ流れて21世紀、2005年秋。
「メガネかけてる男の子ってすき！」「いいよね！」「メガネ男子かわいいよね！」なんて、みんな普通に言えるようになった、今日この頃。
私は相変わらず、「メガネ男子は特に、好きでも嫌いでもないなあ〜」と思っていた、のですが。
本屋さんでこの本の表紙を見て、

「……分かったーーーーーーーーーーーーーーー！！！！」
と思ったんです。

「で、それでですね、自分でも何が『分かった』んだかわかんなくて、どうしようか悩んでたんですが、じゃあこの表紙を作った方に直接相談しよう！　と思ってですね、無理を言って話を聞きにきちゃいました。
『メガネ男子』本のブックデザインを手がけていらっしゃる、白畠かおりさんです！」
「はじめましてー」
「なんかその……噂によりますと、白畠さん自身、かなりのメガネ男子愛好家で、なんと今回のブックデザインの表紙、じつは６パターンも案が出ていたという……」
「今日持って来ました！」
「おおおおおおおおおおおおおお！」

>>次ページで特別大公開、「メガネ男子」初期ラフ全６パターン！！！！！