劉備が家の裏にある桃園でお茶を飲んだのに習い、私も家の裏山に登って、そこでお茶を飲もうと思う。
朝、一応かみさんに 「汲んできた水を持って、これからお茶を飲みに行こうと思うんだけど一緒にどう?」 と声をかけてみたが、 「勝手に行って。」 とあっさり断られる。
裏山でお茶を
ということで、私は単身、家の裏山を登り始めた。
長崎は、小さな丘のような山が無数にある。 うちの裏にある山もそんな山のうちのひとつ。 すぐ近くにあるにも関わらず、登る人は誰もいない。
途中までは車も通れそうな道幅があったが、 「ここから先は来るな。」 という感じで木が倒れており、その先は急激に道が悪くなる。
選ぶ場所間違えたかも
草むらの中を、独り茶道具を持って、てくてくと歩く。 お茶を最高のシチュエーションで楽しみたいという気持ちだったはずが、いつのまにか未開の地を探検する冒険家の気持ちになりつつある。選ぶ場所を間違えたかも。
やがて、開けた場所に出た。心なしか気分も少し開ける。 温泉宿とか作れそうなスペースだ。 秘境の宿、という感じでどうだろうか?
なぜかエロ本がバラバラになって散乱していた。 誰だ?こんなところにエロ本持って来て読んでた奴。 人が滅多に立ち寄らない場所にエロ本あり。
中学生とかだったらここで当初の目的を見失ってる可能性が高いが、さすがにもう、こんなもので揺らぐ心ではない。お茶だ。私はお茶を飲みに来たのだ。
もう頂上が目の前に見えている。 あそこまで行って、そこでお茶を入れて飲もう。
振り向くと海が高い位置から見下ろせる。 三菱の造船所が近くにあるので、時々変わった船が見られる。この日は真っ赤なガスタンクの船が見えた。
そしてさらに歩く。 もうちょいだ。
頂上に着く
そしてついに頂上に着いた。 たいした山ではないのだが、それでも上からの見晴らしはなかなか良い。
と、そこでふと下を見ると…。
エロビデオが落ちているではないか。 なぜだ?なぜこんなところにエロビデオが!?
人が滅多に来ないところになぜかあるエログッズ。 それも下は本だったのに頂上はビデオ、とグレードが上がった。人が訪れにくい場所ほど落ちてる物のグレードが上がるという法則があるのかどうか、エベレストの山頂とか月の裏側とかも確かめてみたくなった。
中学生ではないので、これを家のビデオデッキに差し込んだはいいものの取り出せなくなり、恥ずかしくて修理にも出せないどうしよう…みたいな窮地に追い込まれるような愚行は犯さない。