春ということもあってか、最近とにかく眠い。
いや、春のせいにしてしまったが、実を言えば別に最近に限らず眠い。季節なんか関係なく、駅や外出先でも、ついうとうとしてしまう。
そんな束の間のうたた寝をしながらいつも思うのは、「ああ、布団があればなあ」ということだ。
寝たいと思う気持ちに場所は関係ない。いつだって布団でちゃんと寝たい。そう思ったのでやってみました。
(text by 法師丸)
●ルールを忘れて眠りたい
もう疲れた。寝たい。不思議なことに朝の起き抜けからそんな風に思っているからすごい。眠った意味がない。
そんな気持ちが自分を寝る衝動に駆り立てる。ただ、そうは言っても昼間のうちは誰しもそれぞれやることがあるだろう。ならば帰宅したらすぐに寝てしまえばいいのではないだろうか。
本気でそう思うなら、玄関を入ったところに布団を用意しておけばいい。寝室という概念に捕われる必要はない。
やってしまえば簡単なことだろう。食事とか風呂とか着替えとか、そんな手続きなど忘れて布団をしいてしまえばいい。
この写真はなんなんだと自分でも思う。原始的な欲求のままに行動すると人間としてはダメになるという実例か。
しかし、やってみる前はおそらく違和感があるのではないかと思っていたが、布団に入ってしまえばそうしたものは感じなくなっていた。布団に挟まれて目をつぶれば、そこはいつものあたたかい眠りの国だ。
これはいける。案外いいぞ。
玄関で寝るのもいいが、ちょうど季節は春。あたたかい陽気が人を外に出るようにと手招きする頃でもある。
せっかく春が来たというのにその解釈を間違っているような気もするが、自宅の脇に布団をしいてみた。アスファルトの上に布団を広げるという新鮮な感覚。
愚かな者の頬であっても、春の風は分け隔てなくやさしくなでる。しき始めの違和感を乗り越え、布団をかぶってしまいさえすればかなり寝れる。
実際、ピクニックなどに行ってついビニールシートの上で眠りそうになることがあるが、春とはいえ眠ってしまうには涼し過ぎる。
そんな微妙な気候でも、布団があれば快適に眠ることができる。敷布団はアスファルトの冷たさを通しはしないし、掛布団は自分の体温を逃がさずにいてくれる。
やっぱり外で寝るのは気持ちいい。もっとオープンな場所にも繰り出してみよう。