トイカメラが好きだ。おもちゃみたいなカメラで、精度の悪さがフィルムに現れること自体を楽しむというか。「きれいな写真」ばかりが表現ではないぞ、というか。
その「表現」のあれこれを求めて熱い視線をトイカメラに送っていた日々だったが、その視線の延長線上にたたずむものがある。
「ステレオカメラ」だ。
つまり立体写真の撮れるカメラ。だがしかし、買えば結構するこのカメラ。わざわざ買うのもあれだなーと思っていたら簡単に自作できるらしい。今日は皆さん一緒に目を寄らせましょう。
(乙幡 啓子)
こんな簡単でいいのか
いや、ステレオカメラは別に「トイ」ではないのだった。往年の名機も世に出回ってはいる。が、現在製造しているメーカーはごく少なく、写真のメインストリームからは明らかに外れている。
そこがいい。
という人は私だけではないはずだ。なんとか自作したいと思っていたら、あるサイトで超簡単なステレオカメラの作り方を紹介しているではないか。 (「簡易ステレオ写真の勧め」の河野さんにご提供いただきました。ありがとうございました。)
どれくらい簡単かといえば、上の写真にもある通り。つまりこういうことである。
コロンブスの卵というか、「写るんですでステレオカメラ」というか。これでいいのか!何か角度の計算とか、フィルム送りへの細工とか、そういうものはどこに行った!
と暴れたくなるくらい、あっという間にできた。実際は技術とかシステムなんて、こういう単純なことかもしれない。文系だからといって、遠巻きに見ることはないのだ。
対象物をだいたいファインダーに収めたら、手ブレのないようにして左右のカメラのシャッターを同時に押すだけなのである。