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はっけんの水曜日
 
コーヒーで健康を取り戻せ

コーヒーの飲みすぎだと思う。朝とりあえず起きるために飲む一杯から始まり、いったい一日何倍のコーヒーを飲んでいるのか。それで特に体を壊しているわけもないのだが、カフェインの摂りすぎは体によくないだろうなと漠然と思っていた。そんなある日、タンポポコーヒーの話を聞いた。タンポポの根は乾燥させて焙煎するとコーヒーになるらしい。その昔コーヒー豆が高価だった頃、一般庶民は植物の根や大豆なんかを焙煎してコーヒーの代わりとして飲んでいたらしいのだ。

さらに調べてみると、なんでもタンポポコーヒーは消化不良や便秘などにも効果があるとのこと。しかもカフェインレス。いいんじゃないか。最近どうも本能的に体に良いものを探しまわっているようで怖いのだが、今回は体に良いコーヒーを飲むために春の野原にタンポポ摘みに行ってきました。

安藤 昌教

意外とない

3月に入ったばかりだし本州はまだ寒いのだろう。だけどここは沖縄、とっくに春だ。春にはタンポポが野原一面に咲き誇るもの。そう思って野原を探して歩いたのだけど、意外とないのだ。タンポポどころかタンポポが生えていそうな野原すらない。

たまに道端に生えていた草の中に、タンポポに似た葉の形をしたものがあった。抜いてみると根がもじゃもじゃしていてどうやら違うらしい。タンポポの根は一本太いのがずどんと地中に伸びていて、そこからさわさわっと細い根が生えているはずなのだ。

自分の中にあるタンポポ像が怪しくなってきた。そういえば最後にタンポポを触ったのっていつなんだろう。黄色い花、そして綿毛、そのくらいしか確かな手がかりがなくなってしまっている。


おお、それらしい葉っぱ発見。
そう思い引っこ抜いてみるとまったく違う感じの根でした。

気合の入ったフォントで注意されます。

困ったときには公園だ

タンポポを見つけるため昔の記憶をたどってみる。子供の頃、どこでタンポポを見つけたのだろうか。やっぱり道端か公園じゃないか。公園?そうだ公園だ。

ということで近所の公園にやってきた。いるのは僕一人だ。まあ平日の午前中にタンポポ摘みに来ている大人も確かに珍しい。ビニル袋片手にきょろきょろしながら歩いている姿はかなり怪しげだなと思った。変質者に注意、の看板にもめげずに(というか実際変質者ではないわけだけど)タンポポを探す。


朝の公園で夢中にタンポポを探す大人。

下を見ながら歩いていても一向にタンポポは見つからない。もしかして沖縄には生えていないのだろうか。そう思って諦めかけた矢先、遠くの木の根元になにやら黄色い花を見つけた。もしかしたら、と近づいてみると、あった、やっぱりタンポポだ。

さらに目を凝らすと、すぐ足元にも花が終わって綿毛になったタンポポが生えていた。なぜだか一度見つけるとあとはそこにもここにも見つかる。連チャンモードに入った。おかげで十分な量のタンポポの根をゲットすることが出来た。


やっと発見しました。やあタンポポ君久しぶり。
と思ったらあちこちにある。
根を切らないように注意してスコップを入れます。
これが取れたてタンポポの根。

 

タンポポにもいろいろあるらしい

しかしいざ引っこ抜いてみるとタンポポの根は意外と貧弱そうに見えた。根を傷つけないようにと少し離れたところからスコップを入れて丁寧に引っこ抜いても、根はたいてい途中で切れてしまう。まあダイコンみたいな立派なやつに出てこられてもコーヒーを作る上では困るわけだが。

図書館へ行って調べてみると、このタンポポは西洋タンポポという種類でコーヒーに向いているとされる関東タンポポや蝦夷タンポポとは別の種類らしい。いや、いまさらそんなこと言われても、第一ここは関東でも蝦夷でもなく沖縄なわけで。

一瞬ひるみかけたが、まあ同じタンポポには違いない。西洋だろうが関東だろうがコーヒーくらい飲むだろう。ということで今回は西洋タンポポでいくことにした。


夢中で摘むうちにデンジャーゾーンにいました。

公園で草を引っこ抜くのはどこか懐かしい感じがした。草むらにしゃがむと湿った土の匂いがして、小さい頃よく遊んだナズナやらカラスノエンドウやらを見つけた。いつかもっと年をとったとき、タンポポを見たら今回のことを思い出すのかも知れない。デイリーポータルで毎週自由研究のようなことをしていると、子供の頃の思い出を上書き保存しているような気分になる。



 

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