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はっけんの水曜日
 
おしゃれな人と対決する

隣におしゃれな人が住んでいる。どのくらいおしゃれかというと、未来みたいな家に住んでいて鎌倉出身でロンドンとかに留学したことあって職業はデザイナーなのだ。どうだ、非の打ち所がないだろう。

そんなおしゃれピープルに非おしゃれ代表として無謀にも対決を挑んできました。結果は見るまでもないですが、まあ見てください。何か高い壁を越えられるヒントみたいなものが見つかるかもしれません。

安藤 昌教

リュウタ君の周りにはいつもおしゃれな空気が漂ってます。

リュウタ君の車と僕の自転車。

いいな、パタゴニア。

おしゃれはすぐ近くにいた

隣のリュウタ君はおしゃれだ。彼は東京で服飾の専門技術を身につけ、現在は服飾デザイナーをはじめ幅広くおしゃれな世界で活躍している。表現が抽象的なのは僕がこのあたりの業界事情をまったく知らないからだ。まあとにかく非おしゃれな僕とは異なる世界に住んでいる人ということだけは確か。そんな人がなぜかすぐ隣にいた。机の引き出しを開けると4次元空間だった、みたいな話だ。

おしゃれな人は移動手段もいちいちおしゃれだ。リュウタ君はサーファーが乗るような旧車のバンに乗っている。一方僕は本当のサーファーなのに移動はもっぱらちゃりんこだ。よく近所の焼肉屋の前でこける。車も一応持っているが古くてギシギシいうのであまり乗っていない。しかも、しかもだ、彼は最近ボルボを買った。ちくしょう。

リュウタ君はいつもパタゴニアというブランドの製品を着ている。おしゃれだ。沖縄ではあまり売っているのを見たことがないのでいったいどこで買ったのか聞いてみた。すると衝撃の事実が明らかになった。

「ああ、パタゴニアね。実家の鎌倉ではみんな着てるよ。じいさんとかもパタゴニア着て畑仕事とかしてる。これは親父が昔着てたやつをもらったの。」

さすが鎌倉。予想に違わぬおしゃれぶりだ。やっぱりセンスの良さはある程度育った環境に左右されるような気がする。一方僕は全国的にも特異な文化を持つとして恐れられている愛知県出身だ。そんな僕でもいつかは鎌倉に住めるのか、と聞くとあっさりこう答えられた。

「安藤君は無理だよ。だってパタゴニア持ってないもん。」

鎌倉に住むにはパタゴニアありきなのだ。ちくしょう。


かなり、なんというか、だめだ。

嫌になってきました

ここで筆者の普段着を例に挙げてその違いを比較してみたい。

まずジャケット。かなり以前に流行ったMA-1をいまだ愛用している。何かの雑誌で「今年は10年ぶりにMA-1がくる」とか書かれていたが、僕の場合10年間ずっと着ているので少しタイプが違うと思う。もちろんブランドはパタゴニアではない。そしてこれまたどこのものだかわからないジーパン。しかも普段はコンビニの袋をよく持ち歩いている。

書いていてなんだかテンションが下がってきた。

 

この時点ですでに結果は見えているような気もするが、一応悔しかったので対決を挑んでみた。今回の企画を立ち上げた動機はねたみ、それのみだ。しかも対決手段として選んだのは服飾リメイク。よく考えたら完全に相手のフィールドではないか。どうしてこういう流れになったのかはまったく覚えていないが、たぶん僕が酔った勢いかなんかで嫉妬心を爆発させてけしかけたのだろう。おしゃれでありながらかなり人のいいリュウタ君はそんな僕の挑戦を嫌な顔ひとつせず引き受けてくれた。



 

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