「うわ、かわいいねえ。でもキレイな顔だから、女の子にモテるでしょー」
「いや僕、早く結婚したいんですよね。友だちの子供とか、かわいくってねー」
「へえ……そうなんだ」
「ていうかねえ、僕、性欲とかも、最近ほとんどないんです」
「え、ええー?」
「友だちの女の子とか泊まりにきても、フッツーにそのまま眠って終わりですから」
「そうかー」
「いやあ、仕事して結婚して……(以下、簡単な彼の人生プランの説明が)」
「……いやあ、しっかりしてるねえ……。でも、どうしてそんなの、ハタチで考えるようになっちゃったの?」
「なんでですかねー。あのね、僕、自分のこと大好きなんですよ」
「え?」
「自分のことが好きなんです」
「……そかー。でもさ、自分バブルって、はじけるよう」
「え? 意味わかりません」
「うーん、なんかはじけるんだよー、よくわかんないけど!」
……そのときは私は酔っていて、「自分バブル」をうまく説明できなかったので、ここで補足。
実は私は彼のまったく逆で、ずっと自分のことが嫌いでした。「自分嫌い」バブルでずっと過ごしていて、やっと最近、自分にも、好きなところと嫌いなところがあるなあ……と考えるようになったのです。
でもそんなの、見当違いな話なのかもしれないし。
毎日話してる人とも分かりあえないのに、数時間話しただけで、人のことなんか分かるわけないのです。
でも初対面の人と長く喋るのって、やっぱり面白いなあ、と思いました。初めて行く土地の、初めて見る景色みたいに、新鮮です。
「……しかしなあ、きみは……無駄な美形だなあー」
「どういう意味ですか!」
「いや、なんか、それだけキレイだったら、もっとおいしく生きれるのではないかと……ムニャムニャ」
「え、ええー」
「いやわかんない、そのままのほうが、面白いからいいかもしんない!」
「ていうか、大塚さんとか皆さんは、結婚とかしないんですか?」
「…………うるちゃーい!」
ちなみに田中さんのしてくれた某業界話もメチャクチャ面白かったのですが、問題がありすぎてここには書けません。 |