やっぱり、韓流スターだった

ジャージのおばさんが1階から僕たちを見上げ、「タレントさんよ」とカタコトの日本語で教えてくれた。おばさんが言ってた事は本当だったのだ。
しばらくすると、もう1人別のタレントさんがやって来て、2人で写メールを撮り合ったりしている。

「誰だか分る？」
青木さんに聞いたが分らないという。おばさんに聞こうと思ったが、タレントさんとそのスタッフがいっぺんに5人も来たものだから、急に忙しくなって僕たちの所に来てくれない。

とりあえず写真を撮らせてもらおう。
マネージャーさんらしき人に交渉し、撮影させてもらった。写真を撮らせてもらって、でお名前は？と聞くのも失礼なので、お礼を言ってお店を出た。

--

カフェの近くでは本当にドラマのロケをやっていて、その周辺にタレントさんの出待ちをしている女の子たちがいた。さっきの写真を見せてタレントの名前を確認する事にした。

「この人、誰だか分る」
1人の女の子にデジカメのプレビューを見せると、その場にいたみんなが集まって来てあっという間に僕たちは囲まれてしまった。

「こっちがアンソニョンで、こっちがキムミンジュ！」
どうやら最初に入って来たアンソニョンの方が有名で、タレントというよりもコメディアンらしい。随分色っぽい芸人さんだが、日本でいう友近さんあたりだろうか？　ニワトリの真似とかやってくれるかな？　女の子たちに聞いても分るはずがないのでやめておいた。

「そんな事より、あなたたちは日本から来たの？」

女の子たちはカメラの中の芸人さんよりも、日本から来た僕たちに強い興味を持っているようだった。日本から何をしに来たのか、日本では何をやっているのか、私は来年から日本に留学するけど、あなたは松本潤と知り合いか？

日本語も勉強中です。ほら、あいうえお

あまりにも日本に興味を示してくれたので、とりあえずみんなに名刺を配っておいた。少しでも日本の雰囲気を伝えられるもの、と思ったら名刺しかなかった。

「住さんの事、かわいいって言ってましたよ」
青木さんからそう聞かされ、それはきっとあれだ、珍獣だ。若い頃は珍しいものを見ると興奮して、とにかく「かわいい」って言ってしまうに違いない。

お昼はキムチチゲ専門店へ

気を取り直して。
3台目も一般タクシーを拾った。次はおいしいお昼ご飯が食べられる場所に連れてってもらう。

カフェ「テラス」から10分弱、3000ウォンの所で降ろされた。運転手さんのお薦めはキムチチゲ専門店だった。タクシーの運転手が良く利用しているお店らしい。

確かにお店の前にはタクシーが3台も停まっていた。車の外で運転手さん同志がしゃべっていたので、ちょっと聞いてみた。
ここのキムチチゲはおいしいですか？

「ああ、おいしいとも。俺もさっき食べたよ。ちょっと辛いけどね」

間違いない。ここはタクシー運転手さんご用達のお店だ。