高級住宅街のカフェで……
お昼ご飯にはまだ早いので、その前においしいコーヒーを飲ませてくれるお店に案内してもらう事にした。
今度も一般タクシーを拾い、さっきより慎重に企画の主旨を伝えてもらう。運転手さんが良く行く喫茶店。安くておいしくて居心地のいいお店に連れてって下さい。
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2人目の運転手さんは、以前まで模範タクシーをやっていたらしく、店には詳しいと言っている。高知に親戚が住んでいるとも言っていて、僕たち日本人には親しみがあるようだった。かなり早口で色々と話しかけてくるが、青木さんも相づちを打つのが精一杯で、いちいち訳してくれない。
何を言っているのか分らないまま、気付くと車に乗ってから20分ほどが経過していた。随分と遠い所まで来てるんじゃないか?
「何だか結構乗ってるけど、大丈夫?」
不安になったので青木さんに聞いてみた。どうやら日曜日の午前中にやっている喫茶店は少ないらしく、遠くに向かっているという。まあ、信じるしかない。
運転手さんお薦めの喫茶店は朝粥のお店から25分、料金にして7500ウォンの場所にあった。カンナム地区という高級住宅街の中にある「テラス」というカフェだった。
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3階建てのお洒落な建物に入ると、中から上下ジャージ姿のおばさんが出て来た。
「日曜日の午前中はお客がこないから」
おばさんは少し言い訳っぽく笑いながら、僕たちを2階の席に案内してくれた。
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