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はっけんの水曜日
 
トマトラーメンめぐり

鴬谷駅で降りたの、初めてだ。
言問通り沿いにあるという、目的の店、「哲学堂」に向かう。

駅から店まで、徒歩3分の距離もないのだが、途中、可愛いランジェリーが大変安い店を発見。
「ピーチ・ジョン」に載ってるような下着がいっぱいだ。思わずブラジャーなどを購入。
「あれ、でもなんでこんなところに店が……繊維問屋街の、日暮里の隣だからかな?」と一瞬思ったが、よく考えたら違った。ここは風俗のお店が多い。つまり、風俗の女のコや、風俗の経営者が、お買いものする店なんだろう。
ということは、全国の風俗街そばには、こういうお店が多々あるのだろうか……。



ここは、「秋田産を使った特製ニンニクラーメン」が有名な店らしい。
店頭には、ラーメン雑誌の記事のカラーコピーが貼付けてある。

ニンニク、ニンニクかあ……よく見ると近隣には、焼肉・焼き鳥系の店が多く、「風俗街」「肉」「ニンニク」と並べて考えて、「あー」と短絡的に勝手に納得しながら、店に入る。

「いらっしゃいませえー!」
店内はサラリーマンで一杯だった。
眼鏡をかけているご婦人が、注文をとりにきた。
笑顔だ。私が最近見た中で、もっとも「やさしげ」な顔をしてる人だなあ、と思った。飲食店で、なかなかこういう顔の人は見ない。西原理恵子さんのマンガ、『ゆんぼくん』の「かあちゃん」みたいなルックスだ。
「あのう、トマトラーメンを……」
「ニンニク抜きで……よろしいですか?」
にこにこ。
私が一応女なので、気をつかってくれたんだろう。
「いや、あのう……ニンニク入りと、ニンニクなしと、どっちが美味しいですか?」
「そうですねえ、ニンニクが入ってるほうが……美味しいですよ」
にこにこ。
「じゃ、それお願いします」

テレビがついていて、何かクイズ番組をやっていた。ぼーっメニュー表を見ると、「ニンニク入り」のほうが100円高いことに気づいた。
100円かー。
いや、100円高いもの食べさせようとしたワケじゃないんだよな、最初、ニンニク抜きですか、ってきいてくれたんだから。
……少し時間がかかった。混んでいたせいだろう。
「おまたせしましたー(にこにこ)」と、ガーリックトマトラーメンは運ばれてきた。



しょうゆベースのスープ。壁に貼ってある記事には「魚のダシが入ってる和風」を書いてあったが、あまり魚の味は前面に出ていない。
具はチャーシュー、青ねぎ、生キャベツ、のり、お麩、半熟たまご、トマト。

ずずずー。
お、違和感なし!
うまいうまい。トマト、醤油と合うじゃん!
っていうか、何か懐かしい味だ、ナゼだろう……と、よく考えてみたら、ウチの実家では、トマトに醤油をかける習慣があったことを思い出した。
私自身はプレーンのままで食べるほうが好きだったのだが、親がしょうゆトマトのファンだった。
なので食卓では、切ったトマトの乗った皿に、半分しょうゆ、半分はかけないまま、というのがいつものパターンだった。
私もたまに、気が向いたらしょうゆ付きトマトを食べていた。

……トマトにしょうゆかける家庭って、全国で何パーセントくらいなんだろ、と思いながら完食。
代金850円を、新しい千円冊で払うと、ご婦人は一瞬「あ」という顔をして、そのあと「ああ!」という顔をして、微笑み、そしてお釣りをくれた。

駅前まで戻って、本屋に寄ったら、狭い店内、半分が女性誌ずらり、半分は『おとなのOFF』などの男性誌、奥には風俗雑誌、といたって分かりやすいつくりになっていた。
ちょっとびっくりした。

●哲学堂
台東区根岸1−6−12


 

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