デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


はっけんの水曜日
 
バッチャン探訪とメコンデルタで泣いた話

*ベトナム旅行報告2回目です。先週の「ハノイの満月、楕円の花環」とコネタ「ベトナムのプリンは美味いのか?」も、よろしければ合わせてお読みくださいませ。


ベトナム・ハノイ入り、3日目。
私が唯一、日本から申し込んだのが、「ハノイから行く、日本語ガイド付きバッチャン村ツアー」であった。
バッチャンというのは、ハノイの東南にある、有名な焼き物の町だ。
ここで焼かれるのがバッチャン焼きで、600年の歴史があるという。花とか鳥とかトンボとか、大変にかわいらしい柄が多いので、「雑貨としてステキ〜!」と、日本人女子の間で大ブレイクしているわけだ。

私はこの焼き物について、ずっとナゾに思っていたことがあった。
……売っているのだ、東京の100円ショップで。赤い花柄がキュートなので、何枚も買いこんで、アクセサリーを入れたりしている。質は良くないのだが、どう見ても手描きだ。
「B級品を安く買い上げているのかな? それともジャパンマネーで、人件費も輸送費も、100円でまかなえるってことなのかな? ……本物のバッチャン焼きは、もっと全然良いクオリティなんだろうか?」
で、実際見てみたかったのだ。

午前中半日ツアーだったのだが、集合は朝の8時30分。ホテルのロビーに降りると、「大塚幸代様」という紙を持った、小鹿のように気弱そうな、ベトナム人青年が座って待っていた。
ベトナムの人は男女とも小柄なので、172センチの私は、相当なデカ女に見えるだろうと思う。
「コンニチワ、わたし、ハンといいます、ヨロシクお願いします」
ホテルの前に横付けされていた車に乗り込む。運転手は別にいた。

ブブーブブー、と、ひっきりなしにクラクションを鳴らしながら、車は発車した。

 

(text by 大塚幸代


焼き物の町、バッチャンへ向かう

ハノイの市街地をぬけ、河をわたる。
「この、橋、フランス統治時代にフランス人がつくりましたー、フランスから材料持ってきたので、とっても大変でしたー」
「へえ〜」

カタコトガイドを聞きながら、風景をながめる。

「ハンさん、日本語はどこで学んだんですか? 留学とかしたんですか?」
「ハノイの大学で学びました、あー、ぼくはまだ年は23サイです、留学は、行きたいんですけど……」
「まだ、行ってないんですね」
「ハイ、僕の友達、千葉大学に留学しています」
「あー千葉大学、知っています、そこ、頭のいい、学校です」

カタコトの人と話していると、カタコトになってしまうのは、なぜだろう。

「僕も、千葉大学に、留学したいです、でも、お金ないので、こうして、ガイドをして」
「……準備している、とこなんですね」

橋を渡り終えると、道はガッタガタになった。2台の車がすれ違うのがやっとの道幅で、すぐ下には河が見える。

「ココの道、たまに水没します。まえにボートでバッチャンにガイドに行ったことがあります」
「へえ〜」



バッチャンまでの道がたまに水没することは、何かで読んで知っていた。そのときは「……水没ってどんなんだ?」と思ったけれども、目にしてやっとわかった。
道と水がとても近い。これなら大雨が降ったら、道がなくなりそうだ。ベトナムは泥の国っていうけど、ほんとに都市をちょっと離れたら、水と土だらけだ。


バイクとチャリの人はいるけれど、歩いている人はいなかった。

そういえば旅行前、「バッチャンまで車で30分? だったら徒歩で2時間くらいあれば歩けるじゃん?」と考えて、「ハノイからバッチャンまでウォーキングしようと思うんだけど、神保町に、ハノイ近郊の住宅地図を売ってる店ないかな?」と当サイトwebマスターに相談したところ、「そんなのは無いと思うし、危ないからやめろ」と、全力で止められたんだった。確かに歩くのはキツそうだ。やめてよかった。



工房に到着、皿買いまくり

道がデコボコなこと意外は問題なく、アッサリ着いた。
「ハイ、ここですー」

工房をひと通り見学だ。



素焼きの器に、


こうやってバリバリ絵付けします、手作業。


こんな柄をスラスラ書いてしまいます。


私も1コ試しに書かせてもらいました。花がら。


輸出用の、高い焼き物は電気釜で焼くそうで。


国内向けの、安い器はこういう釜で焼きます。日本人の感覚だと「スミで焼いたほうが高い」感じがしますが……逆なんですね。



出来上がり見本の中にあった、小さい茶器セット。「ハンさん、こういう小さい器って、何に使うんですか?」「たぶん、強い酒を飲むのに使うんデース」……絶対に違うと思う。



う、こんなところにも日本文化が。

工房の下はショップだ。全部ドルだてで値段が付いていた。小さいお皿は1ドルからで、その値段が適正なのかどうなのかサッパリ分からなかったが、ドル払いということは、完全に観光者向けの店なんだろう。
とりあえず、気になった皿を、ぼんぼこ買った。ちなみに物色している時は、笑顔の店員さんがずーっと接客してきて、つらかった……。


 

そして質はやはり……100円ショップのものより、ずっとずっと、きれいではあった。透明感があって、丈夫そうだ。
柄もたくさんあった。私はとくに金魚の絵柄のものが、気にいった。


 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.