主婦たちも続々と描き終える
みんな続々と描き終えていき、出来上がった作品は先生によって葉書サイズに断裁される。
「あら、素敵」「まあ、綺麗」
そこらじゅうから誉めあう言葉が聞こえて来る。
後から松本先生から聞いたのだが、キミコ方式では他人の作品を誉める事も大切なのだという。
生徒さんたちは見事にそれを実践していて、まだ描き途中の僕のネコジャラシでさえ、
「素敵な茎」
と誉められた。まだ茎だけなのに。
--
ようやく終わりが見えてきた
なんとか穂の中の種を描き、毛を生やした。
後は葉っぱを残すのみだが、周りを見るとほとんど人がいなくなっている。
キミコ方式なので、ここでやめてしまってもいいのだろう。
しかし、乗りかかった船だ。最後まで描きたい。
「終わらない仕事はないから、がんばろう」
今、ちょっと厄介な仕事を抱える弊社前田は、代理店の担当からそう慰められたらしい。
終わらない仕事はない。偉いお坊さんから言われそうな言葉だ。 |