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特集


ちしきの金曜日
 
カゴシマはかつて超秘密国家だった


薩英戦争って、すごくない?

ところで、薩英戦争って、なんかすごくないだろうか?

イギリスVSカゴシマ。

もしワールドカップの中継でイギリスVSカゴシマ戦を放送していたら誰もが「ありえない!!」とTVに向かって叫ぶだろう。

その「ありえない」が、
幕末の、ここカゴシマで実際に起きた。
(いや、もちろんサッカーをしたわけではないが…)

ことの発端は横浜で起きた生麦事件。
薩摩藩主・島津久光の大名行列に、日本に来て間もない(日本の常識をまだ知らない)イギリス人が馬に乗ったまま突っ込んでしまった。すかさず、「無礼者!」とその場で切り捨てられたわけだが、これに対してイギリスが猛抗議。やがて戦艦7隻と共に鹿児島湾にやって来て、砲撃戦となった。

イギリスは海上から陸へ向かって艦砲射撃。
薩摩は陸から海上のイギリス艦隊へ向けて砲撃。

結局、双方が甚大なダメージを被るわけだが、両者はこの戦いによりお互いを認め合うようになり、歩み寄りが始まる。薩摩藩はイギリスに留学生を送るなどして西洋の近代的文化を吸収する(もちろん幕府には秘密)。そしてこれが藩の国力を高めることとなり、維新回天の原動力となったのだから、世の中何がきっかけになるかわからない。

そんな砲台の跡を見に行った。




砲台跡 (石橋公園)

砲台跡を訪れる

まずは石橋公園というところにある砲台跡。

さすがに砲台そのものは残っていない。
墓石のように石碑が建っているのみである。

ここから、鹿児島湾および桜島はどんなふうに見えるのか?
距離は実際どれくらいあったのか?

海がある方に目をやると…

桜島は見えず…

海は見えず。桜島も見えず。

埋め立てにより、海岸線が変わっていた。。

ちょっと残念…。



砲台跡 (天保山公園)

別の砲台跡からも

砲台跡は市内に何箇所かある。

今度は天保山公園というところの砲台跡を見に行った。

…が、やはり同じ。

砲台跡地から桜島や海を眺めることはできない。代わりに、目の前に建っている病院がよく見えた。



桜島とファールボール

というわけで、砲台跡地から桜島および鹿児島湾を見るのはあきらめて、歩いて海岸線まで行った。


カゴシマのシンボル、桜島

目の前に広がる桜島と、海。見たかったのはこれだ。

3次元空間でしか味わえない感覚というものがある。

例えば、TVでホームランを打つ場面は何度も見ていても、実際に球場に立ってみるとまた、ホームランに対する気持ちがちょっと変わる。
「この距離を越えるってすごいことだな」 と。
(逆に「なんだこんなもんか」って思うこともあるけど。)

3次元だからわかる距離感。

小学生の頃、初めて球場に行った時、ファールボールがすごい勢いで内野席に飛び込んでくるのが怖かった。当たったらどうしようかと思った。ファールボールってこんなにすごかったのか。

桜島を見ながら、気が付いたらファールボールに思いを寄せていた私。薩英戦争について考えようと思っていたのに…。


船影を発見

船影を発見。イギリス艦隊もこんな感じで鹿児島湾に現れたのかもしれない、と想像してみる。

海岸線から桜島までそんなに近いわけじゃない。

これ当てるの相当難しいかも。

船上の人は、まさか陸からこんなことを想像されてるとは思ってないだろう。




維新ふるさと館

薩英戦争で使われた大砲の弾。
他にも様々なアイテムが展示されている。

西郷ロボット

最後に、「維新ふるさと館」を訪れた。
ここの見所は、ロボットを使ったショーだ。

維新+ふるさと+ロボットショー=???

3つ単語を並べるとロボットだけがどうにも異質な存在だが、要するにリアルな動きをする西郷ロボット、大久保ロボットなどが幕末の維新劇をドラマチックに演出するというシロモノ。

映像・音響も工夫されており、なかなか見応えのある内容だった。西郷ロボットの動きはとてもリアルで、3次元ならではの「オーラ」も感じることができた。

ところが、そんな恰好のネタが、「写真撮影は禁止」だという。そんなぁ。

「記事にしたいのですがダメですか?」
著作権の問題とかもありまして…

ということで、写真は撮れなかった。
こんなところで現代におけるカゴシマの秘密国家ぶりを感じてしまうとは…!

せめてもということで、代わりに鹿児島の西郷像の写真を載せておきます。

上野の西郷像とはぜんぜん雰囲気が異なる点が興味深い。話によると、こっちの西郷像こそが本物に近く、上野の西郷像はあまり似てないんだとか。

城山の西郷像

これも実はロボットだったり…



以上で、超秘密国家カゴシマへの旅は終わりです。

イギリスと戦い、江戸幕府と戦い、新政府とも戦ったカゴシマというところは、とても特殊な、興味深いところです。
また来ます。

これも少し秘密っぽい。(降灰袋置き場)

 

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