デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


ひらめきの月曜日
 
1年で14日だけ観光地になる店


この辺りはテントの張り方が分からず苦労した現場では…

到着、巾着田

ハイカー皆さんの流れに流されるまま歩いているうちに巾着田へ到着。巾着田は、川が平仮名の「ひ」の字状態にうねっていて、その真ん中部分がすっぽり田んぼになっている(今は一部を残してほとんど休耕田)。名前の通り、上空から見ると巾着型というわけだ。問題の曼珠沙華は川沿いに咲いているらしい。

河原は私もキャンプやバーベキューをしたことのある思い出いっぱいの場所だが、曼珠沙華シーズンはその手のアウトドアも一切禁止。いよいよそんな曼珠沙華に初アプローチです。

じっと見ると美しいような、こわいようなで、ちょっとドキドキする
記者会見でも行われるかのようにカメラマンたちが1列に
皆さん、いいカメラ構えてます

100万本、咲きまくり

……。圧巻。河原の砂利から一段上がった林の部分に木々の合間をぬって曼珠沙華は咲いていた。ぶわぶわぶわぶわぶわぶわぶわぶわっというこの大群具合。

視界の70%が赤い。花の造りが細かすぎて視力がついていかない。

ややグロテスクともいえそうな造形とお彼岸の季節に咲きみだれるという性格上、あまり好まれなかった時代もある花だ。花言葉は「悲しき思いで」「過ぎ去った日々」……。それが咲き狂い。

どうしていいか分からず、とりあえずデジカメのシャッターを切りまくった。切りまくりすぎて電池が切れた。

ハイカーの皆さんはカメラマンでもある方が多いようで、しきりにシャッターを切っていた。しっかりと三脚を立て、素人目にも高そうなカメラを構えている。望遠レンズもでかいし長い。片手で握れるぐらいの小さなデジカメを携える私は押されっぱなしだ。

パンフレットなどに使われている写真が撮れるという撮影ポイントはずらっとカメラを構えた人々が列になっていた。列の後ろにも人が並んでいて、やや殺気すら。アイドルの撮影会ってこんな感じだろうか。本気の熱気むんむん。

週末にはオフィシャルな撮影会も催されるらしい。ハイキングとカメラの蜜月関係には薄々気が付いていたが、それが私の地元で展開されているとは。

「あらあ、いいわー、今年はいいわー」
そんななか、手ぶらにスカートでいかにも地元からサクっときましたルックの母はあくまでマイペースだった。過去3回見たうちで今年はベストだそうです。

私も知らぬ間に100枚ぐらい花ばっか撮ってましたよ!
白いのは希少。で、また激写
現場には観光バスも大量に
バスツアーは解説付き
遠足もおしよせる
「曼珠沙華以外の季節で儲けてるよ」とやや寂しげなご主人

売店はどれほど儲かっているのか

駅からは大量に人が押し寄せている、さらに車も渋滞するほど乗り付けてくる(ナンバーは八王子、群馬、宇都宮からも)、観光バスは停まってる、近所の学校からは遠足がやってくる、平日とはいえこの人出だ。

いつもバーベキューをするとき薪を買ったり網を借りたりする売店があるのだが、一体どれだけがき入れるというのだろう。景気のいい話はいくらでも聞きたい。デジカメの電池を買うついでにご主人に聞いてみた。

「いやあ、儲からないよお」
「え? どうしてですか? こんなに人来てるのに」
「だってほら、みんな祭りの方に行っちゃうから」

祭り? ご主人の話によると、田んぼの中心部ではテントを張って食べ物から物産から何から売って、市場のような状態になっているその名も「曼珠沙華祭」という祭りが催されているそうだ。

冗談で「これは祭りだ!」と叫んできたが、本当に祭りになっているとは…。


 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.