移動販売一部始終
今日は、お願いしていたとおり、移動販売しているところにくっついてまわらせていただくことになっている。幸い、お嬢さんが今日はお手伝いに来ていらしたので、お嬢さんの車であとからついて行くことに。
移動販売車の後ろにずっとついて行くなんて初めての経験だ。そう言うとお嬢さんも「私も、お店で手伝うだけなんで、父の後をついて行くのは初めて」とのことだった。この取材で父の後姿を再発見してください。
目的地があるらしく、最初はかなり飛ばして走る。そのうち、見たことないような横道に、そのままの速さで入っていく。アナウンスを流し始め、いったん、住宅地の奥の空き地に停めてお客を待つ。
ほどなくして、お客さんが駆け寄ってきた。来るか来るかと外の音に耳をすませていたに違いない。
2〜3人来たところで客足が途絶えた。私は車から降りて写真を撮っていたが、販売車が無言で動き出したのであわててお嬢さんの車に戻った。「あれ?もう行っちゃうんですね。何にも言わないで行っちゃうのね〜」と、お嬢さんも戸惑い気味。
でも、いつまでもひとつところに粘るわけにはいかず、次の場所にも早く着かねばならない。商売なのだ。それに、お客さんもだいたい時間はわかってるだろうし。バスみたいなものだ。
かなりピンポイントな時間にその場にいないと、買うのは難しいに違いない。しかも、今もこの車1台だけでやっているという。子供のころ「幻のシュウマイ」だったのがわかる。移動販売が来るのを今か今かと待って買いに行ったときの、逃したら終わりという、あの崖っぷち感覚、いっぱいいっぱいな気分を思い出した。
お嬢さんもまったく知らないような脇道を縫うようにして進み、いろんなポイントで停まっては商売をする。どんなところでも必ずお客さんが待っている。
あとで聞いたら、「今日はお盆だから、いつもは買ってくれる人が今日はいなかった」という。それに、夏は気温が32度以上になると売れなくなるという。夏はコロリンシュウマイには厳しい季節だ。