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特集


土曜ワイド工場
 
コロリンシュウマイを追いかけて

大量に蒸す

ついにコロリンシュウマイの厨房に入る

桐生市郊外。お盆の猛暑の中、午前10時半にコロリンシュウマイ製造販売元にお邪魔すると、11時出発に向けての準備の真っ最中。にもかかわらず、てきぱきと冷たいお茶を出していただくわ、てきぱきと試食用のシュウマイを盛っていただくわ、「あ、それだと海苔かかってないわ。写真撮るならかかってたほうがいいわよね、食べるときは海苔のないほうが歯にくっつかないから別にしてあげるわ」と気を使っていただくわ。


しかもその合間に、1日分、3500個もの量のシュウマイやその他のフライなどのお惣菜の準備をしているのだ。

これが、あの「伝説の」コロリンシュウマイの厨房か・・・と感慨にひたる間もなく、できたてのシュウマイをほおばる。


かじりとる。全域、皮である。いや、中身だけというべきか。そもそも皮がないのか。中心部にたまねぎの破片あり

コロリンがドットで
ふつうのシュウマイと違うのは「じゃがいも」使ってることだろうか
扇風機活躍。粉が詰まるのでエアコンは使えない・・・ この日も真夏日

熱い。そしてデンプンでできたやわらかいカタマリを、くにょくにょと噛む。甘いソースがからむ。感触はまさに「皮だけのシュウマイ」だ。昔と変わってない。

香りや食後の感じはまさにシュウマイである。そしてたまねぎの風味。しかし、「私が中身、私が主役です」という存在がない、いやあっても姿が見えないため、淡白な味わいだ。

どちらかといえば、オヤツ的な楽しみのある食べ物だと思う。しかし、淡白なだけにあとをひく。つい手が出る。腹にたまるはずなのに、気づくと何個でもほおばっている。実に不思議な食べ物だ。

 

コロリンの向こう側には

さっき、1日で3500個と書いた。それを蒸すだけでなく材料の仕込み、練ったり成型したり、他のフライ物の仕込みなども含めると、午前2時に起きなければ準備できないという。

「毎日、原料のじゃがいもをふかすのに1時間、それをむくのに1時間でしょ。しかもシュウマイとコロッケやイモフライ(コロッケとイモフライは別物)では、じゃがいもを使い分けるから、大変なのよー!」と奥さん。

その横で黙々とシュウマイをあおぐ主人。

火曜から日曜の6日間、1日2回、11時と16時半に移動販売するのだそうで、合間に仮眠を取りつつ、しかしお店にお客が来れば応対して、ということだそうである。

それで26年営業してきたのだから、頭が下がる。「コロリンシュウマイ」という牧歌的な雰囲気の裏では、日々のそういった膨大なことの積み重ねがあるのだなあと、何か感慨深い私だ。



 

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