●ボタンを押す人々
ボタンの殿堂であるだけあって、科学博物館は私以外にもボタンを押す人でいっぱいだ。
左の写真の子供も、きれいな蝶の標本などまるで見ることなく無我夢中でボタンを押しまくっていた。ボタンに心奪われた彼にとっては、展示物などむしろ邪魔なものなのだろう。
貴重な資料を押しのけ、主役におどり出たボタンたち。少々年齢層が低いのが気にはなるが、押されてこそのボタンというシーンを見てみよう。
●さらにすごいボタン求めて
隕鉄ボタンは名前のインパクトが確かにすごかったが、あくまで展示の補助的なボタンでしかない。もっとダイナミックなすごいボタンを押してみたい。そんな気持ちが私を千葉県は勝浦にある宇宙通信所に向かわせた。
看板にも難しい英語が書いてあって、すごいボタンがありそうな予感がビンビン伝わってくる。
宇宙はともかく、ボタンには興味がある。目的がどうであろうが、一般公開されている以上入場を拒まれたりはしないだろう。
●天候に作用されるボタン
ボタン1つであんなに大きなアンテナが動く。高ぶるを気持ちを抑えつつ、操作したいという旨を施設の人に告げてみる。
「んー、今日は風が強いから無理だね」
そ、そんな……。少し風はあるけれど、そこをなんとか、と、ねばってみたが叶わなかった。
通信所は無休で公開されているが、アンテナが操作できるのは平日限定なので、社会人にはなかなかハードルが高いボタンと言える。
ガラス越しに遠くから見つめるボタン
残念ながら自分史上最大のボタンを押すことは叶わなかった。操作室のガラスドアから、中に見えるボタンを眺めることしかできない自分。
さまざまなボタンをめぐる旅は、意外にもセンチメンタルな幕切れだった。
一層高まるボタンへの気持ち。今回の試みの中でやたらとボタンを押してきた自分への戒めのようにも受け取れる。すぐそこに見えるボタンがこんなに遠いなんて。
新たなるボタンへの思い。今後は目的と意味を持って、そしてたまには持たずに、ボタンを押していこうと思う。