デザインと設置場所を打ち合わせる
そもそも電柱広告を出したいと思ったキッカケは、弊社事務所のロケーションにある。最寄駅から遠く、住宅街の中に紛れているので分りづらい。初めていらっしゃる方々の大半が迷ってしまう。
「分りづらいですよー」
ようやく辿り着いた人たちは大抵汗だくで不機嫌だ。道が分りづらい上に、急な坂道の上にあるので来るまでに疲れてしまう。水曜日担当ライターの大塚さんは毎回弊社にたどり着けない。
何とかしないといけない。そんな時、思い付いたのが電柱広告だった。
電柱広告を取扱う東電広告社に問い合わせた。早速、営業担当の熊谷さんが来てくれたが、
「あのー、今、近い所にいると思うんですけど…」
と電話があった。やっぱり迷ってる。外まで迎えに行き、事務所に案内した。
ハンカチで汗を抑えながら、熊谷さんが説明を始める。
「電柱にはNTTさんが管理されているものと東京電力が管理しているものの2種類ございまして、私共は名前の通り東京電力の電柱を取扱っております」
--看板のデザインは自由になるんですか?
「東京都には屋外広告物条例というものがありまして、いくつかの規制があるんです」
デザイン上考慮しないといけないポイントは、
・あくまでも誘導目的でなければならない
・使用可能な色は4色まで
・商品写真、顔写真を載せてはいけない
というものが挙げられる。
各自治体によって多少の違いがあるようだが、東京都に限ってはこの3点に注意してデザインしないといけない。
「交際相手求む。住正徳」と顔写真付きで掲載する事は出来ないのだ。もちろん、そんな広告を出すつもりはないが、電柱広告はあくまでも誘導目的として設置されないといけない。
デザインは東電広告さんからご提案いただく事も出来るのだが、一応弊社はデザインを生業としている訳なので、自分たちでデザインさせてもらう事にした。
そこで、僕には1つのアイデアがあった。
--QRコードを入れたい
携帯電話で撮影すると、そのまま指定サイトにアクセスできるバーコード。
「前例がないので、出来るかどうか分らないですね……。ちょっと持ち帰らせてください」
実現すれば恐らくは日本初のQRコード付電柱広告となるが、一旦保留となった。
「設置場所ですが、現在、このポイントが空いています」
空いているポイントがマ−キングされた地図を見る。
おっ、暗闇坂の下が空いている! デジタルビイムまでの道のりで、最大の難関といえる暗闇坂。あの急勾配に、何人のチャレンジャーたちが弊社訪問を諦めたことか……。
そんな心臓破りな暗闇坂のふもとを設置場所に選んだ。
--「↑この先」の代わりに「↑がんばれ!」って表示したら駄目ですか?
「それはちょっと……」
あくまでも誘導目的なのだ。応援目的ではいけない。
そして、実際に設置されるのはデザインが決定してから2週間後。
掲出までの間、ただ待っているのも何なので、実際に看板を作っている様子を見学させてもらうことにした。
※看板制作費として別途1万円かかります。制作費がかかるのは初年度だけで、4年後には無料で新品と交換してくれます。
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