バラエティに富んだ黒と白の食材を前に、金澤氏は首を傾げている。
「うーん、ブラックタイガーとか、うちの店じゃあ使わないしなあ…」
普段はとことん和の素材にこだわって料理を出すお店だ。インドネシア産のブラックタイガーをどうしたものか、金澤氏は困っているのだ。
しかし、作ってもらわないとこっちも困るので、僕も腕組みをして対抗する。
「分りました。やりましょう」
粘りの交渉が実り、何とか了解を得る事が出来た。
そうと決まれば金澤氏もプロだ。
オリジナルメニュー作りに一切の妥協は許さない。真剣な面持ちで包丁を握り、「黒づくし膳」と「白づくし膳」に挑んでくれた。
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