宝石鑑別こぼれ話
ひととおり見せていただいた後で、おもに鑑別に来る人々についていろいろお話を聞いてみた。
「どんな人が鑑別にやってくるんですか?」
「20歳くらいの男女が多いですね。電話で展示会の案内が来て、行ってみたら断れなくて買っちゃった、とか。あと、中高年の方が東南アジアなど宝石の産地に旅行に行って、良し悪しをわからずに宝石だからっていうんで、お土産に買ってきてしまう、とか」
要は、買うほうも賢くならないとだめですよ、と藤岡さん。全くそのとおりだ。藤岡さん自身も勉強を怠らない。合成石など大量に買ってきては、日々じっと見て研究だそうだ。
「あとね、そこの青い表紙の本・・・2時間ドラマの台本」。ジュエリーコーディネーターを演じる美人女優さんに技術指導をしたそうだ。でも彼女とはあまりしゃべれなかったと、残念そうだった。
一番の苦労
「鑑定などで一番気を使うことってなんですか」
「やはり、鑑定結果を言うときですね。会話に神経使います。本当のことを言ってしまうとカドが立つ場合もあるんですよ。だからといって嘘を言うんじゃないですけど、事実を言い放つだけという態度はしないように気を使います。」
確かに、鑑定してくれと頼んでくる人は、まさか自分の宝石がグレードの低いものだと思って訪ねてはこないだろう。いろよい答えを期待してしまっているものだ。宝石より人間の扱いの方が難しい・・・ありきたりな感想ですが。
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