「わしは違うがね、隣の村だがよ」
この村の人じゃなかった。
東京から来た事を告げると、まあ入りなさい、と受付の部屋に招待された。
こたつで暖をとりながらお話を聞く。
この日の客は僕を含めて12名、いずれも村外の人ばかりだという。
「5時以降には村の人たちがやって来るがね」
「何人くらい来るんですか?」
「そうさねえ、25人くらいは来るね。みんな回数券もっちょるから」
人口の10%が温泉に入りに来る訳だ。
17時まで待とうかと思ったが、電車がなくなってしまうので諦めた。
帰りは村営バスが温泉から駅まで送ってくれる。
バスが来るまでの間、ベッカムの生い立ちを語るテレビ番組を見て過ごした。
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