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特集


ロマンの木曜日
 
日本で一番小さい村

村で唯一の温泉



雨は止む気配もなく、周りの風景が墨絵みたいになって来た。
まだ2時過ぎだというのに薄暗く、相変わらず人はいない。

この村唯一の温泉「湯の島温泉」を目指し、更に2km歩く。


ここは竹下首相時代に配られたふるさと創生資金1億円で掘った温泉だ。
入湯料は一般客で400円。受付のおじさんがこたつに入ったまま入浴券をくれた。脱衣場にタオルも売っていて200円だった。


内風呂と露天風呂があってお湯の温度はぬるめ。
効能は…
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき……。

僕の他に1人先客がいたので、この村の人か聞いてみたが豊田町の方だった。
ここにはたまに来るらしい。

今のところこの村の人と会ったのは4人。
千歳屋主人、青山先生、車で2回すれ違った人、車で信号待ちさせてしまった人。

あ、そうだ!温泉の受付の人はこの村の人か?



「わしは違うがね、隣の村だがよ」
この村の人じゃなかった。

東京から来た事を告げると、まあ入りなさい、と受付の部屋に招待された。
こたつで暖をとりながらお話を聞く。

この日の客は僕を含めて12名、いずれも村外の人ばかりだという。
「5時以降には村の人たちがやって来るがね」
「何人くらい来るんですか?」
「そうさねえ、25人くらいは来るね。みんな回数券もっちょるから」

人口の10%が温泉に入りに来る訳だ。
17時まで待とうかと思ったが、電車がなくなってしまうので諦めた。

帰りは村営バスが温泉から駅まで送ってくれる。
バスが来るまでの間、ベッカムの生い立ちを語るテレビ番組を見て過ごした。


おじさんにもらった富山村オリジナルタオル


 

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