第四段階
料理そのものをサイコロ化する
まどろっこしいこと抜きにして、料理そのもの全部をぎゅぎゅっと濃縮させたサイコロを作る。
すき焼きは五感で味わう料理の最高峰。割り下で具を煮込むだけのシンプルな料理なのに、匂いや鍋を囲むという雰囲気のおかげで、数ある料理のなかでもごちそうとしてあがめられている。
大胆にも、このすきやきからビジュアルの魅力を奪う。そんなすきやきを私は食べたがるだろうか。
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サイコロにしてもごちそうたるか |
普通通りにすき焼きを準備。わきたつ甘い匂い、正真正銘のすき焼きをサイコロ化するにあたりフードプロセッサーで完全にミンチに。
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これはすき焼きです |
もったいない。どう考えてももったいない。ミンチにしたとはいえすき焼きには変わりないはずだ。にも関わらず「もったいない」という感情が発動。
とりあえずカップに盛ると、鰯のツミレがすき焼きの匂いさせてるみたいな感じになった。ちょっと頼りない固さだがなんとか形にする。
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一粒ですき焼き全ての食材が摂れます |
未来っぽいぞ。忙しくてすき焼きが食べたくても食べられない朝にどうでしょう。とにかく食べてよう。
……。なぜだ。すき焼きの味がするのに、すき焼きではない。この感覚はもしかして、不味い。すき焼きなのに不味いという混乱と困惑。
ミンチにしてサイコロ型にするまでに冷めてしまったのがいけなかったのかもしれない。冷めないものでもやってみよう。味もしょっぱい物より甘い物の方が美味しくできるんじゃないか。
すき焼きの後に重め続きで恐縮だが、ケーキはどうだろう。
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ちょっとかわいそうな図 |
ミンチにしてもイチゴの彩りが残っている。心なしか余計にふわふわになった感じも。期待できそうだ。
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冷やして固めました |
箱菓子かなんかにありそうな雰囲気になった。食べてみると、やっぱり「ケーキ」でも「ケーキ」とは違う。冷やして固めて、新しいおやつを開発したみたい。
すき焼き
すき焼きの味だが、すき焼きではない。得体が知れない。まずい。
ケーキ
ケーキの味だが、ケーキではない。別のお菓子のようだ。おいしい。
わかったこと
これが何であるか、目で見て判別がついた時点で食欲は起こる。
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