着替え
服を買い込んで、いつもすいている、Tレコードのトイレを借りて、着替えを始める。
まず服を着る。レッグカバーなんて初めてだ。暖かくていいかもしれない。
ミニスカは当たり前だがスースーした。毛糸のパンツが流行るのも、無理はない。
服を着たら、ウイッグを付け、化粧をする。
こんな私でも、一応化粧品を持っている。思い出したように買ってみては、ほとんど使わないので、似たような色のアイシャドーがたくさんある。なさけない。
電熱式のまつげを上げるヤツも、買って2年くらいたつのに、使うのは3度目くらいだ。
「こ、これ、この化粧、……変じゃないかなあ」
「だいじょうぶ、ぽいぽい、ギャルっぽいよ」
「でもなあ……」
出来上がっていくと同時に、どんどん不安になってくる。
全身が装備出来たら、最後に付け爪を付けてみた。専用の両面テープを指に貼り、その上からチップをはっつける。
これがなかなか、うまくできない。
「………どうしよう、付かないよう、どうしよう……」
「わ、わたしが付けてあげますよ……」
リタイア組のタカセさんが、爪を装備してくれた。
爪があんなに、不安なものだとは知らなかった。バッグのジップを開けて、サイフを出すことでさえ、困難だ。不自由で何にも出来ない。
現役ギャルたちは、こんなに大変なこと、毎日してるんだろうか。
|