いきなりミカンもらう
11月29日、土曜日、11時。
私達は池袋のコンベンションセンターにいた。国内最大級の物産展、毎年混雑するのを知っていたので、早めに行ってみたのだが……。
「あんま混んでないですね」
「雨降ってさむいですからねー」
そうなのだ。この物産展のメインの客層は、年配の男女。雨が降ったら出かけないタイプが多いのかもしれない。
「去年なんかはまともに歩けないほど、人が来て混んじゃって混んじゃって大変だったんですけどねー」
「でもすいてて逆によかったですねー」
「とりあえず、はしっこから見ましょう!」
3人でぞろぞろ歩くと、いきなりミカンをもらった。愛媛のブースだ。
隣の香川のブースでは、いりこダシのスープを渡された。
「これ、おいしいんですよッ、このいりこ、ひいただけでこのお味!」
いりこ…。普段それだけでは飲まないので、美味しいのか不味いのかよくわからない。
その横でウドンをもらう。うまい。
山口県でゆずリキュールを試飲、岡山で梨酒を試飲。島根で砂たまごをもらい、とうふチクワを試食。
酒、つまみ、酒、つまみ、の波状攻撃だ。
「ハイッ、そこの若い人、これ食べてって!!」
さほど若くないんですけど…と思いながらもいただく。すすめられたものは全部いただく。
「会場は、西日本ブロック1ホールと、東日本ブロックが2ホールですよね? この調子でまわりきれるんですかね?」
「……さあ」
体育館ふたつぶんの大きさの会場、どこまでも続く試食。私はすでにユズのジュースと梨のお酒を購入してしまっていた。紙袋が重い。重いながらも先に進む。
|