本命液、登場
早くも真打ち、秘蔵配合のシャボン液の登場だ。この液でダメだったら……。微妙な緊張。
とりあえず、中に入る前に、大きなシャボン玉を作ってみてその実力を見てみよう。
「えーい!」
中くらいの大きさのフープを液に浸して、祈る気持で横に振った。
「うわ! なんだこれ! すごい!」 とぎれることなくシャボンの膜がつながっていく!
走ると鯉のぼりのような状態にのびた。すごい! さすがは大きいシャボン玉専用配合!
思わず半紙で魚拓ならぬシャボン玉拓を取りたくなるほど大きなシャボン玉がどんどん作れる。予想以上の実力だ。
膜を引き上げろ!
これなら入れる! 確信のもと、液が枠に流し込まれた。早速1人が枠の中に入り、3人が枠を持ち上げる例のフォーメーションを取る。
「よーし! いち、に、さーんっ!」
「……。あれ?」
タイミングの問題だろうか。やっぱりシャボンの膜は高いところまで上がらない。
落ち着いて、まずは誰も入らずに、フープだけ持ち上げる練習をすることにした。 何度か続けるうちに、腰の位置ぐらいまでは持ち上げられるようになってきた。
「風が止んだ一瞬が勝負だと思う」 「巻き付けた毛糸、もっとぎゅっと隙間無く巻いて!」 「こっち側、液が足りないみたい」 「いち、に、さーん、の、“さーん”のところでもう少し呼吸置いた方がいいね」
全員のコメントもどんどん玄人はだしになってきている。 そして……。
「いち、に、さーん!」 「 あっ!」
これなら人が入れるというところまで膜を持ち上げることができた。このタイミングを覚えているうちに再度、枠の中に人を投入!