ビンゴ大会が始まってから4時間が経過。林さんは「5」が出ればビンゴで、僕は「73」と「14」が出ればビンゴ。大塚さんは未だリーチにもならず。
「林さん、あそこにシャネルがありますよ」 「ああ、そうですよ!シャネルの5番って有名じゃないですか!」 「そうですよね、シャネルの5番。行ってみますか!」
店内の雰囲気を外から覗き、僕たち3人は同じ思いを共有した。 「とても入れない」
「いや、僕のニットキャップなんて、オリジナルですから」 林さんは、この前の企画で作ったニットキャップでシャネルに対抗しようとしている。 「あんなロゴだって、いくつでも作れちゃいますから」
いや、林さん、それは違うよ。そんな大きい(毛玉3玉分)シャネルの帽子はきっとない。
行き詰まった雰囲気を僕が払拭する。 自慢の桜庭Tシャツには「39」の文字が。ここで僕はリーチが4つ。
待つ数字は「73」「14」「19」「65」。勝利目前か? 少し油断した半蔵門の駅、林さんのハイテンションコールが聞こえる。
迂闊だった。 林さんの待ち目は「5」。清原の背番号に出会えるまでビンゴはない、と勝手に思い込んでいた。 考えてみれば、「5」なんて僕の待ち目より遥かに出やすい。
栄えある第1回街角ビンゴ大会の王者は、林さんに決定した。
あの番号だけでもビンゴ大会が出来るんじゃないか?
ビンゴのチャンスはどこにでも転がっているのだ。