水中でひとしきり泳いだ後、彼らは私たち側のプールサイドまであがってきて、ぬれた身体でダンスをした。曲は松浦亜弥の「ね〜え?」。
「コミカル」としか言い様の無いダンス。笑った顔。ピッと動かす手足。
ドキドキした。それは「パンツいっちょの男が近付いている」というエロ方向のドキドキというより、「若いぞ青春だぞ!! うっひょーーーー!!!」という生命力をドカーンとたたきつけられたような衝撃だった。
……胸焼けしそうだった。恐い気すらした。
文化祭最終日の最終公演ということで、終わった瞬間、水中メガネをとった彼らの顔は、キラキラと輝いていた。いわゆる「いい顔」というやつで、そんじょそこらには転がっていない表情だった。
「ありがとーーございましたッ」
彼らは「うおおおおおおおお」と叫んだり、「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ」と声を合わせて走ったり、去年のOBを呼んでプールの中に入れてしまったりした。
女子高生はそんな彼らを、携帯電話のカメラで撮りまくっていた。
「面白かったねー」
「すごかったねえー」
「でもなんか私、おなかいっぱい」
「そうねー。もう男子校の文化祭なんか、結婚して息子が生まれない限り、来ないと思うわ」
「だよねえ。見てて胸焼けしたもん。でもさあ、現役のときに見れたら、胸焼けしなかったかもねえ」
「自分も若かったらね」
そうだ、ああ、17歳のときに見たかった。
高校生のアナタ、来年は見に行ってみてください。 |