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はっけんの水曜日
ほんものウォーターボーイズをみた!


シンクロ見学!

14時。
立派な「文化祭用の門」をくぐって、校内に入る。

かなり頑丈そうでした。
つい食堂でカツ丼を食べてしまいました。もちろん肉薄く量は多い、男子高仕様。380円。



整理券を持って並んで、プールサイドに入る。
(以下、撮影禁止でしたので、イラストでご想像ください)
 
テレビカメラは2台入っていた。マイクなど機材を持った大人が走っていた。今年も取材が入っているのだろう。
 
期待に満ちた顔。「シンクロ(チャチャチャ)シンクロ(チャチャチャ)」と拍手する女子高生たち。
 
音楽が始まる。私たちが立っているプールサイドの反対側から、40人ほどの男子高校生が、踊りながら出てくる。海パン水中メガネ、鍛えた身体はひきしまっていて、真っ黒だ。うきゃーーー! と歓声があがる。


映画やテレビと同じく、プールサイドでのダンスのあと、飛んだり跳ねたりの、水中アクロバットが続く。確かにすごい。こりゃすごい。生で見るとさらにすごい。「ほうら、見てごらん、イルカさんみたいでちゅよ〜」となりに立っていた、幼児連れのお母さんが言った。
 
サザンやドラボンゴールのテーマ曲、和田アキ子、ジャクソン5など、ベタで高校生な音楽の選曲もたまらない。
よく見ると、それぞれの身体に、油性マジックでのラクガキがあった。「山王はオレが倒す!」「最中」「ツユだくで」「舌は入れないで」「エロ星人」「世界傑作劇場」と、しょうもないフレーズばかり。




水中でひとしきり泳いだ後、彼らは私たち側のプールサイドまであがってきて、ぬれた身体でダンスをした。曲は松浦亜弥の「ね〜え?」。
 
「コミカル」としか言い様の無いダンス。笑った顔。ピッと動かす手足。
 
ドキドキした。それは「パンツいっちょの男が近付いている」というエロ方向のドキドキというより、「若いぞ青春だぞ!! うっひょーーーー!!!」という生命力をドカーンとたたきつけられたような衝撃だった。
……胸焼けしそうだった。恐い気すらした。
 
文化祭最終日の最終公演ということで、終わった瞬間、水中メガネをとった彼らの顔は、キラキラと輝いていた。いわゆる「いい顔」というやつで、そんじょそこらには転がっていない表情だった。
 
「ありがとーーございましたッ」
 
彼らは「うおおおおおおおお」と叫んだり、「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ」と声を合わせて走ったり、去年のOBを呼んでプールの中に入れてしまったりした。
 
女子高生はそんな彼らを、携帯電話のカメラで撮りまくっていた。
 
「面白かったねー」
「すごかったねえー」
「でもなんか私、おなかいっぱい」
「そうねー。もう男子校の文化祭なんか、結婚して息子が生まれない限り、来ないと思うわ」
「だよねえ。見てて胸焼けしたもん。でもさあ、現役のときに見れたら、胸焼けしなかったかもねえ」
「自分も若かったらね」

 
そうだ、ああ、17歳のときに見たかった。
高校生のアナタ、来年は見に行ってみてください。




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