酒類1杯、おつまみ2品のセットで1000円前後、といったメニューを店頭で見かけないだろうか。飲み始めるにはまだ早い夕暮れどきの、人呼んで「ほろ酔いセット」。誰が呼んだか「ほろ酔いセット」。庶民の味方だ「ほろ酔いセット」。今回は、そんなセットを出す店をまわり、勤め人のささやかな楽しみとはどんなものか味わってみたい。
というか、単純に「ほろ酔いセット」という名前にひかれて企画したのだ。だから連呼してみた。だって「ほろ酔い」に「セット」ですよ。ハンバーグセット、ケーキセット、タイヘイファミリーセット、そしてほろ酔いセット。こういう種類のものにもセットの概念を適用するのか、と、なんだかおかしくないですか? (text by 乙幡 啓子)
さて、企画しておいて今さらなんだが、今回はひとりで居酒屋などに入店し、「ほろ酔いセット」と店員に注文し、飲まなければならない。よく考えたら、そのさまを自分で写真に収めねばならないのだ、カメラを自分に向けて(私のカメラはレンズ部が回転しない)。そのへんのちぢこまったようすも読み取っていただければと。
では、考察のポイントを。 ・ほろ酔い度を客観的に計測する為、TANITAの「Dr.バッカス」を手に入れた。計るぞー。 ・1日1店。守るぞー。 ・手には文庫本。めくるぞー。
プロローグ
池袋、17:00。蒸し暑いなか、東口・西口をまわるも、ほろ酔いセットまったく捕捉できず。 先行き不安ナリ。
ひとりで昼時の立ち食いそば屋にも入れるようになった大人な私だが、今回は非常にプレッシャーを感じる。いくら「女性のひとり飲み」が一般的になってきたとはいえ、あやうくぶんなげるところである。