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特集


はっけんの水曜日
モスクでチャイを

今回、このモスク探訪に応募したのは、たんなる好奇心だった。前から「大塚にモスクあるんだって!」という噂は聴いていた。普段は入りにくい施設に入ってみたい、イスラーム教がどんな世界観なのか知りたい、そう思っただけだ。イスラーム教に関しては、世界史の授業で習ったことと、9・11以降の報道、それくらいの知識しか持っていない。
あとは映画や小説、マンガでの、アラブ系のキャラクターが「アッラーの名にかけて」と言う場面のイメージくらいだ。(ちなみに私の頭の中で最も有名なアラブ系キャラクターは、マンガ『エイリアン通り』のシャールくんです)。

ミーハーな気持ちで来たのだけれど、建物に入ると緊張した。ただのビルなのになぜ、宗教施設の中では時間が静かに流れている気がするんだろう。
まず大部屋に通され、イスラーム教の大まかな説明をきく。話してくれたクレイシ・ハールーンさんは、流暢な日本語だ。


いただいたプリントに目を通しながら話をきく

「まず言いたいのは……日本でイスラーム教は悪いイメージがあるかもしれませんが……平和の宗教なんです。クルアーン(コーラン)には『人を殺すな』と書いてあります」

クレイシ・ハールーンさんの説明をメモする。

偶像崇拝禁止なので、モスク内に像は置かない。門の形をしたものが壁に貼付けてあり、それはマッカ(メッカ)の方向、カーバ神殿に向かっている。
カーバ神殿の中心はからっぽの小さな部屋。
お祈りは1日5回。モスリム用の時計があり、祈る時間が分かるようになっている。

1日5回のお祈りと、週1の特別なお祈りの時間が分かるようになっている

「祈る人はみな平等」という発想から、仏教でいうお坊さんのポジションの人はいない。
アッラーが唯一の神。アダムもノアもイエスもエイブラハムもムハンマドもモーゼも、神の言葉を伝える「預言者」ではあるが「神」ではない
クルアーンは暗記してる人が多い。ちなみに全部声に出して読むと15時間かかる。でも一気に読んではいけない(少なくとも3日をかける)。
生まれ変わりは信じていない。死んだ日、アッラーの前で自分が善行をしたか悪行をしたか答えて、天国か地獄へ行く。
「幸不幸は神様が決めたこと」という考えで、悪いことがあっても納得してしまうので、自殺がない。たまに自殺があるとニュースになる。
週末に勉強会を開いている(悩み事などを話し合う)。大塚モスクにくる人だけで25ケ国、日・英・アラビア語でコミュニーケションをとっている。

誰かが「日本の企業で働いてる人は、お祈りはどうしてるんですか?」ときいた。
「お祈りは、時間ぴったりにやらなくてもいいのです。ですからお昼休み、休憩時間などにやりますので、困ることはありません」
フレックスなのか。なるほど。

話を聞いて初めて、アッラーというのは「概念」なんだなあと思った。聖地には他宗教にあたる「ご神体」がなく、皆、コンビニが1つ入るくらいの小さな空っぽの部屋に向かって祈っているのだ。不幸を納得してしまうので、自殺がないという話もすごい。神様に悪態をつくことはないんだろうか。



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