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ちしきの金曜日
日本海であの人にさよなら
今週は青春18きっぷスペシャルウイークをお届けしています。「青春18きっぷウイークとは?」


私事で大変に恐縮であるが、ここしばらくまともな恋をしていない。

ギラギラ目ばかり血走らせていないでなぜだか冷静に考えてみたら、最後の恋を未だに引きずっているのではないかと思えてきた。

これを清算しない限り次の恋へはいつまでたっても行けないのかもしれない。

清算しよう。あの恋を。

一人で海とか行って、マンガとかドラマみたいに派手に恋に別れを告げるなんてどうだろう。バカバカしいけど、スッキリしちゃうかもしれない。

そんなわけで、青春18きっぷをたずさえ、結構本気で新潟県の海岸に行ってきました。

(text by 古賀 及子

むしろ冬の朝
始発でゴー

さようなら東京
しばらくの間、さよなら東京

ぐー
ぐー

砂に書いたラブレター消しに

過去の失恋の傷をきれいさっぱり清算できれば、きっと新しい恋もできてそりゃあもうバラ色の人生がはじまるに違いない!すばらしい!!

そんな野心に満ちた今回のミッションのため、新潟県の海岸を迷わず選んだ。日本海だ。やるからには派手にやってやれ。例えば白い砂浜に書いたアイツの名前、波で消すほどに。

調べてみると、18きっぷで目的地へ日帰りで行くには当然のごとく始発に乗るようだった。

早起き上等、計画決定。

行ってきます

当日、夏の朝とは思えない暗さにビビりつつも無事始発に乗り込んだ。

新潟は遠い。往復16時間電車に乗る。そんなに長い時間移動ばっかして大丈夫か。なんか体にさわるんじゃないか。そもそも本当に今日一日で行って帰って来れるのだろうか。

確かに電車は1本でも乗り逃がすと目的地には行けないし、帰っても来られない。 鉄道の旅には魔物が住んでいるのだ。

なんどかある乗換えが心配だ。時刻表を持つ手に汗がにじむ。

いきなりナーバスになるなか、落ち着きをなくしてきょろきょろ周りを見渡すと朝の車内ではおもしろいぐらいにみんな寝ていた。

どうやってこんなに朝早く電車に乗るのだろうと思っていたが、単純に家で寝ないで電車で寝てるってことなのか。

なんとなく緊張がほぐされる


ナウ、プレイング
ナウ、プレイング

わかんない
わかんない

失恋を蒸し返せ

イカン、主旨を思い出さねば。今日の目的は恋の清算。深層心理に根をはっている(予測)あの恋に終わりを告げるのだ。

きれいさっぱり清算するためにも表面上は忘れている(予測)失恋を蒸し返す。

コンピレーションCD「失恋ソングス」というのを買ってみた。早速聴いてみる。

一曲目、中森明菜「難破船」。

こうなったらとことんやる。哲学的な気分になってみたり、幸せそうな人々を眺めて妬ましい気持ちになってみたり。

固形物、自粛。
自粛。

「食事も喉を通らない」を思い出す

さらに、食事も制限する。確か失恋直後はなにも食べずにずいぶん痩せた。

そして芽生えるハングリー精神が失恋を清算する原動力になるのだ!いや、そうなのだろうか。

お腹が空いてよく分からなくなってきた。とりあえずできる限りの努力はする方向で、ごはん抜きでいく。

吸引固形物、自粛。
自粛。
流動物のみ許可。


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