●14時、船は三宅島に一旦寄港、そして林さんが復活
船酔いダウンから3時間、林さんの顔色が乗船前に戻った。 「いやあ、すみませんでした」
デッキに戻るとすぐ、林さんはフラワースティックを操り出す。 遅れを取り戻したい。そんな林さんの熱意がビシビシと伝わってくる。
復活の林さん
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そんなに飛ばしたら、また気持ち悪くなってしまう。林さんを止めようとするが、そんな忠告に耳を傾けてくれる雰囲気ではない。 無言でスティックの動きを見つめる林さん。カツンッカツンッとスティックがぶつかる音だけがデッキに響き、林さんの静かなる闘志にリズムをつける。
「あなたは男だ」
林さんの青き炎に感化され、僕の練習にも熱が入る。
3つボールカスケード
3つボールカスケードは想像以上に難しい。 うまくいく時は10回くらい続くが、次にトライすると3回も続かない。 10回が15回になりコツを掴んだ様に思うと次のトライでまた全く駄目になる。そんな事を繰り返すうちに心身共に疲れ切ってしまう。
ふと横を見ると林さんは文句一つ言わず、静かにスティックを操っている。 そんな林さんの姿に感動したのか、おじさんが後ろから静かに見守っている。
そうだ。僕はもう1人じゃない。 2人でこの苦境を乗り越え、無事、竹芝桟橋の土を踏もうじゃないか。 気を取り直し、僕と林さんは2人で並んで練習を続ける。
2人で特訓
練習場がない部員の少ない部活の様になっているが、気付くと時計は18時を回っていた。 「当船は予定通り20時20分に竹芝桟橋に到着いたします」 船内アナウンスが流れる。
僕たちに残された時間はあと2時間。