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特集


フェティッシュの月曜日
下から見あげるモノレール


モノレールの醍醐味は下から眺めることだと思う。頭上をしゅるしゅるいいながら走るモノレール。なぜかぐっとくる。

・したから眺めることができる乗り物なんてあまりないから?
・クリーンなイメージとはうらはらに下から見ると意外に泥くさいから?
・僕がただ変態なだけ?

モノレールをたくさん見て、考えてみました。(text by 林 雄司


高いところにあるレール

光の筋のようにモノレールが通る

車体とレールのあいだに黒いタイヤが見える

面白くなさそうにモノレールを待つ人々

多摩モノレール

2000年に開通した新しいモノレール。
多摩センター駅は高架になっている京王と小田急のさらに上にあるため、ビル5階ぐらいの高さにホームがある。

街で傘をさしていて、すれ違う人の傘にぶつからないように傘を高くしたら、いつのまにかつま先だって傘をさすような体勢になっていた、みたいな話だがわからなければいいいです。

線路の下で見ていると静かにモノレールが通り過ぎた。底の面まで覆われていて、タイヤやメカがよく見えない。しかし線路と車体のあいだに黒いタイヤが見えた。オバQの足みたいだ。

きれいに覆われたものの下には恐ろしいものが詰まっている、と思った。

 

多摩の未来はどこに

多摩モノレールは地元にすむ人の日常の足だ。電車からは沿線にすむ人の家が至近距離で見える。窓を開けっ放しにしているうちは家のなかまで見える。

ベッドに寝転がってテレビを見ている女性、タタミの部屋でごはんを食べている男性、ベランダでタバコを吸っている男性。

なんだこのユルさは。都電か江ノ電に乗っているみたいだ。モノレールの非日常、未来の乗り物感はない。

考えてみれば、沿線の人にとっては最寄り駅がたまたまモノレールだっただけだ。

モノレール=飛行機に乗るためか動物園にあるもの、と思っている僕からすると、おじいさんが岡田真澄ぐらいの違和感なのだが、そういうリアルもあるのだ。そういう人もいるのだ。

実際、乗ってみて僕は窓から外の景色に釘付けだったけど、僕の隣の若い男はずっとグラップラー刃牙を読んでいた。彼にとっては乗りなれた面白くもない電車なんだろう。

そういうところを含めて、やっぱり多摩はニュータウンだと思った。



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