2日目はじまり
10:00頃、いつもより早く目が覚めた。意外にも、昨晩よりは空腹感がはなかった。
体重を計ったが、前日と同じ重さであった。少しがっかりした。
食事を断つと、身体は肝臓や筋肉、血液に備蓄されているエネルギー(グリコーゲン)がまず使われて、次に体脂肪を燃やすそうなのだが、まだ「脂身」が燃焼していないのだろうか。
ぼうっと部屋の掃除をしているうちに、また空腹感がやってきた。部屋にあったのオードトワレを見て、身体にかけてみた。香りの強い間は、食欲をごまかせた。
断食道場のプログラムを見ると、鍼やマッサージなど、寝たまま身体をいじられるメニューがたくさんあるのだが、理由が分かった。刺されたり揉まれたりして、身体の内側より、身体の外側に注意を向けて、気をまぎらわしたかった。
計画が狂う
当初、午前中は整体に行って、午後は近場の映画館でずっと見たかった映画を見て、夜は半身浴でもしようかと思っていた。
しかし、受け取らないとマズい荷物が届くことが分かり、家から出られなくなった。
しかも、仕事が入らないように調整していたのに、急遽アップしなければいけない原稿が1本入ってしまった。当サイトの「ランチにいくら使うか」という特集だ。
「社内食堂の生姜焼きが好きです!」「ほか弁の肉野菜炒め弁当最高!」
荷物を待つ間、こういうコメントを700件ほど読み込み、分類分けした。
「何だろうこれ、いじめか、いじめなのか? デイリーポータルZ編集部は、私のことが嫌いなんだろうか……ヨヨヨ」
半泣きで作業した。栄養が足りずに頭の回転が悪くなっているせいか、なかなかはかどらなかった。
画面を見るながら水を飲む。気が付いたら午前中だけで1.5リットルも飲んでいた。トイレに何度も行った。
映画館へ
荷物が案外早く届いたので、即行で着替えて、映画見に行くことにした。家にずっといると、気が滅入りそうだった。
駅に行く途中、コンビニでお茶のペットボトルを買った。
コンビニはそれ全体が、でっかい冷蔵庫のようなものだ。食べ物だらけだ。特にパンとおにぎり、お弁当の棚はなるべく見ないようにした。でも目の端には入ってしまう……どの食べ物も、普段の5倍、いや10倍は美味しそうに見えた。
チーズが星形に切ってある、ベイスターズのハンバーガーを見つけ、「くくくくくく食いてーーー!」と思った。
新宿の映画館に行くまでに、私はすべての食べ物情報をひろっていた。看板や飲食店の匂い、街は食べ物だらけだ。
私は甘いものが欲しくなっていた。ミスタードーナツの、砂糖をまぶしたドーナツが食べたかった。
でも、映画館に飛び込んでしまえば、もう平気だった。
『ボウリング・フォー・コロンバイン』を観た。とても面白かったので、観ている間は、 空腹感はなかった。観終わったあとも、そんなに空腹感を感じなくなっていた。
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