1時間30分経過、空振りを恐れるな
トイレに行くと具合の悪そうな学生たちでいっぱいだった。
「メガネ、落ちたのか?」
上級生が新入生に声をかけている。メガネを便器に落としてしまったのかと思い、新入生を見るとメガネはかけている。メガネは彼のあだ名で、ノックアウト確認をしていたのだ。
上級生「お前、とんだ大学デビューだな」
メガネ「いやあ、ピッチャー4杯はキツイっす」
上級生「高校時代とか、あんまり飲んでないのかよ」
メガネ「あんま、飲んでないっす」
トイレでのやりとりを林さんに報告すると、林さんもメガネの様子を伺いにトイレに向かう。
メガネ「やっぱり、ピッチャー5杯はキツイっすよ」(1杯増えている)
上級生「お前さあ、飲みが遅いよ」
メガネ「いやあ……」
上級生「こぼしてもいいから、もっと早く飲め」
しばし沈黙
メガネ「合宿行きたいっすよー」
上級生「合宿行ったらこんなもんじゃねえぞ」
メガネ「まじっすか?」
上級生「25才の先輩とかも来るから、もっと飲めるようになんねえとな」
メガネ「俺、がんばりますよ。もうちょっとしたら回復するんで、戻ったらガンガンいきますよ」
上級生「でも、早くしねえと、終わっちゃうよ」
メガネ「……」
つまり、上級生はメガネの当てにいくバッティングに納得がいかないのだ。空振りしてもいいから思いっきり振り切れ。そうすれば夏合宿でも活躍出来る。上級生の愛のムチだ。
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