19時の街、グランブルーを見失う
新歓コンパに合流するため、金曜日の新宿にやって来た。
アルタ前、19時。さすがに待ち合わせをする人たちでごった返している。
新歓コンパのグループを見つけるため、アルタ前から駅方面に向かいブラブラと探索。
新歓コンパの目印はサークル名のかかれたボード。ボードを高々と掲げているグループを見つけて、その人たちに着いていけばいいのだ。
周囲を見渡すとボードを掲げた若者が結構いる。
カナリアクラブ、グランブルー、ラジパケ……。何のサークルだか見当もつかない様な名前が並ぶ。
学生時代にバイト先で強制的に野球チームに参加させられて、そのチーム名が「エンドレス」だった事を思い出す。日曜日の朝早く呼び出されて多摩川の土手で試合をした。チーム名はエンドレスだったが、結局1試合やっただけでチームは自然消滅。名前負けしたのだと思う。
僕と林さんはどのサークルの新歓コンパに合流するか値踏みする。
「あそこは人数が少なそうですね」
「あの人たちはちょっと恐そうですよ」
うじうじしている間にボードを持ったグループの数が減っていく。
「とりあえず、あのグループに着いて行きましょう」
「あそこはそんなに恐くなさそうですしね」
「グランブルー」というサークルに着いて行く事に。
あまり近づき過ぎると警戒されてしまうので、ある程度の距離を保って着いて行く2人。
人ごみをかき分けながらの追跡は中々困難で、先を行くサークルボードだけをたよりにしていく。
しばらくすると、ボードを持った男がボードを掲げるのをやめてしまった。
「ボードが見えない!」
「どっち行きました?」
「と、とりあえず右に行ってみましょう」
捜索空しく、完全にグランブルーを見失ってしまった2人。
新歓コンパ合流の道は険しい。
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