脚光を浴びるアシモ兄さん
映画や小説に出て来るロボットはいつもどこか物悲しい。ブレードランナー、ロボコップ、ターミネーター……どのロボットも主に悩んでいる。
去る4月7日に誕生日をむかえたアトムにしても、天馬博士に捨てられてサーカスにいる所をお茶の水博士に拾われる、という設定だ。
そんな悲哀に満ちたバックボーンのあるロボットに僕は惹かれる。
そういうロボットたちに会いたい。
そんな思いを胸に、「ROBODEX2003」の会場に足を踏み入れた。
会場内のメインステージには人だかりが出来ていて、その中心にいるのは世界最高峰のヒューマノイドロボット・アシモ兄さんだった。
最新型のアシモ兄さんは人の顔、声、動きや周囲の環境を認識して自律的に行動が出来るようになっている。
一度顔と名前を登録すると10人までなら95%、100人でも7割までなら顔の区別ができるらしい。歩きながらでも人の顔を識別できるので、知らない人にはついていかない機能が実現できている。
僕の小学校2年生の時よりも凄い。
サッカーをしたり、クイズイベントの司会をするスター・アシモ兄さんの姿は、確かに健気で愛らしい。
でも、何かが足りない。
アシモ兄さんには悲哀がない。
僕は悲哀に満ちたロボットを探すため、他のブースに向かう。
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