谷中のシンボル
まずは「ネコ好きの聖地」と呼ばれる、東京の下町・谷中に行ってみた。
なぜ聖地なのかというと
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夏目漱石が「吾輩は猫である」を書いた家、通称「猫の家」があるから |
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本物の猫もいる猫グッズ専門店「ねんねこ堂」がある |
から
しかし、なんといっても一番の理由は
につきる。
谷中を歩いていると、どこかの飼い猫の散歩によく出くわす。猫を飼うにも、散歩に出すにもいい環境なんだろう。
家のないネコも多い。
「夕焼けだんだん」と呼ばれる石段には、つねにフリー(ノラ)の猫がいっぱいいるので有名だ。
つまり、猫撮りカメラマンのみなさんにとって、恰好の撮影スポットでもあるわけだ。
この日(2月22日、ニャンニャンニャンで、なんとネコの日)も、夕焼けだんだんには10匹ほどのネコがいた。
周辺はネコの匂い。
有志の人が置いたのか、エサがあちこちに置いてある。ネコもみな小太りだ。
ネコたちは集まっているくせに、てんでバラバラな方向を向いて、静かに座っていた。
何もかも悟ったような顔をしていた。
でも実際は、「さむいなー」「うまいもの食いたいなー」としか考えてないのかもしれない。
ネコとたわむる
今回、私はネコへの対話のきっかけにと、猫用ジャーキーを持ってきていた。
「どうも、こんにちわ。チチチチ」
ネコはあっっさり近寄ってきた。ジャーキーの匂いをクンクンとかぐ。
なめる。
食べない。
「これ、あんまり、高級なヤツじゃないね……悪いけどいま、おなか一杯なんで」
という感じで、元に座っていた位置に戻っていった。
しかし一匹だけ、愛想のいいシマネコが相手をしてくれた。すり寄ってきて、ジャーキーも少しは食べてくれた。「営業部長」と名付ける。
通りは観光客がひっきりなしに通る。「うわあ、ネコだ可愛いー」と声をあげる。
立ち止まる人に、ネコのほとんどは無関心だ。
営業部長だけ
「どうも、谷中名物のネコなんですよコレが! 街のシンボルなんでね、大切にされてるんですよね、割と」
という感じで、グリグリと身体を押し付けていた。
「ねんねこ堂」にも寄った。
ねんねこ堂のねこは、店の中のストーブの前にねそべっていた。毛並みも毛ヅヤも、夕焼けだんだんのネコとは、同じ動物とは思えないほどきれいで、
「愛されてるネコー!」
というオーラが、全身からほとばしっていた。
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