●メキシコ料理でした
むかし、むかし。
マヤ・アステカの人達は、カカオを神様からの授かり物だと考えて、カカオを使って聖なる飲み物を作っていました。
それが南米で伝えられ、いつしかメキシコの伝統的な料理になっていったのです。
「このチョコレートのソースはね、モレソースっていうんですよ。
メニューにこのモレがあるかないかで、アメリカ系メキシコ料理なのか、メキシコからのメキシコ料理なのか、わかるんです」
お皿を出しながら、お店の方は説明してくれました。場所は国分寺のメキシコ料理屋さん。メキシコ音楽の中、初めて飲んだ「ソル」というビールも、手作りだというチップスも美味しく、勢いがついたところに、待望のチョコレート料理が出てきたのでした。
私の頼んだのは「エンチラーダ」というメニュー。ジャガイモと挽き肉を、トウモロコシで作った皮で包み、モレソースをかけたもので、伝統的な料理だそうです。
「モレは、チリとカカオで作るんです。
チリっていうのは、トウガラシの大きなやつみたいな香辛料なんですけど、メキシコでは200種類くらいあるんですよ。
モレは、めでたいソースなんです。お祝いごとには、必ずこのソースのかかった料理が出るんです。お赤飯みたいなものなんですよ」
「お赤飯ですか」
「そうです」
目の前では、問題のソースが、ほかほか湯気をあげていました。
赤茶色。
匂いをかぎます。
……ふうむ。チョコレートの匂いです。
ソースをスプーンですくってみます。
ぺろり。
……あ、チョコレートの風味。
すこし辛い。でも美味しいです。何て説明したらいいんでしょう、カレー粉のような役割を、チョコレートが果たしているというか……。
フォークを突き刺して、ジャガイモも食べます。……ソースとからまって、実に美味しい。ブラウンソースのような、カレーソースのような、でも違う味。鼻に抜ける香りはチョコレート。
なんだかよくわからないけれど、確かに「ごちそう」っぽいな、と思いました。ううん、めでたい味。
Viva Japanesque
国分寺市 南町 3-28-8 |
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