●朝鮮人参酒

「朝鮮人参のお酒？　お母さん、これ、３本もあるじゃん。なんで？」
「貰いものなのよ〜」
「誰から？」
「ええと、誰だったかしら………あ、江東区の叔母さんからもらったんだと思うわ」
「なんで叔母さんが朝鮮人参なの？　旅行いったの？」
「いや、確か、叔母さんが、近所に住んでる人に貰ったやつらしいわよ」
「貰いものの横流しかあ。でも何で３本？」
「何でかしら……」
「これ、北朝鮮のやつかなあ」
「ここ、メイドインフランスって書いてあるわよう」
「フランスう？……あ、これ、朝鮮人参のブランデーなんだ。朝鮮人参ナポレオンか、何だそりゃ。飲んでみよ」
「まずいわよう」
「………（ごく）」
「どう？　まっずーいでしょう？」
「………確かに、人参の味がすごいけど……飲めないことないよ。けっこうまろやか」
「これ、ふるいから、味がこなれてるのよ、きっと」
「……身体にいいのかなあ」
「いいんじゃないの？」
「これ、お父さん（故人）は飲んでたっけ？」
「お父さんしか飲んでなかったわあ、だって、まずいもの」
「それじゃあ減るわけないわ」
「今後も減らないわよ」