デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集 12月のテーマ:夜

12月のテーマ:夜
甘酒ショック療法



14:00 甘酒横町で甘酒

下町情緒の残る町、人形町。
「甘酒横町」周辺は、せんべい、人形焼き、タイヤキ、甘酒、卵焼、やきとり、すきやきなど、いろんな食を堪能できる、食い倒れストリートだ。
明治の初め頃に、尾張屋という甘酒屋があったのが『甘酒横丁』のネーミングの元らしい。
いまは「双葉」という豆腐屋さんが、店先で甘酒を売っている。

もうすでに、私の甘酒臨界点は突破していたが、取材なので購入する。
200えん。良心的な値段だ。
お金を払うと、発泡スチロールのコップに入れてくれた。

店頭に置いてある椅子に座り、飲んでみる。

ごく。

………米のつぶが少なくて、サラリとしていた。
すこし砂糖の味がした。それがダメと言うわけじゃなくて、天野屋の重厚な甘酒よりも、飲みやすくて良いと思った。

3分の1飲んだところで、込み上げてくるものがあった。
うう………吐きそうだ。しかし捨てるところがない。

気分を変えて、歩きながら飲もう、とコップを持って甘酒横町を歩く。もし捨てられる場所があったら捨ててしまおう、という魂胆もあった。
でも、甘酒横町の植え込みは、どこもキレイだった。甘酒を捨てるようなスキはなかった。
周辺をぐるっと一周歩いて、戻ってきて、もう仕方がない、胃に流し込むしかない、と決めた。
息を止めて飲み込む。
自分が涙目になってることが分かった。

「甘酒横町行ったら、有名なタイヤキ屋さんにも行こう」と思っていたが、そんな余裕は無くなっていた。

天野屋の前まで戻ると、店内のガンモ、ゆば、豆腐が、なぜか輝いて見えた。醤油をかけて食べるようなものが、すべて美味しそうに見える………。

さて、次は浅草だ。果たしてもう1杯飲むことは出来るんだろうか?



▲トップに戻る 特集記事いちらんへ



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.