調理開始
さて、鍋をセッティング。
「わたし、これでやり方があってるのか、自信ないんですよ」
「ぼくなんか料理自体、やったことがないですよ」
こんなメンツで仕込みをやって、大丈夫なのだろうか?
……煮たらなんでも食えるだろ、と腹をくくって調理を開始。
【調理法】
・さといも、こんにゃく、牛肉をナベに入れ、日本酒をひたひたに注ぎ、適当に水を足す。しょうゆで薄味をつけておく。
・煮ながらアクをすくう。
・最後にネギを入れ、醤油を足し、味をととのえて出来上がり。
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ダシは材料から出るから要らないらしい。ほんとに平気なんだろうか? と不安になって、途中で手羽を入れてみた。
林さんが「いも煮って、なんか、まるっこいものが入ってイメージがないですか?」と言うので、つみれも足してみた。
煮える鍋を見つめながらよくよく考えてみると、私の実家は、味付けした鍋というのを、ほとんどやったことがなかった。
「……これでいいんですかねえ、ウチはビール鍋とかしか、やったことがないから」
「ビ、ビール鍋!?」
「水炊きの水の代わりにビール入れるんですよ。材料が柔らかくなるんです」
「そんなの、聞いたことないですよ。普通の家庭では、そんなのやりませんよ」
「え?」
鍋体験というのは、「自分の成長過程で体験したものが常識だと思ってしまう」ということを自覚。
「いも煮」もきっと、家庭ごと、団体ごとのルールがあるんだろう。考えると気が遠くなる。
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