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コネタ


コネタ1027
 
今夜は生地を寝かさない

おいしくいただきます

レシピには、料理の作り方が書いてある。しかしなぜそうするのかは書かれないことが多い。

生地をこねた後、一晩寝かせるのはなぜか。
調味料はなぜ砂糖から順にくわえるのか。

たぶんそれらは常識なんだ。だから、細かい理由まではいちいち書かれないんだと思う。

でもぼくにはさっぱり分からない。だから、あえてレシピと違うことをすることによって、逆にその工程の理由をさぐってみることにした。

(text by 三土たつお

クッキーの生地を寝かさないで作ろう

というわけで今回は、お菓子やうどんなど、小麦粉をこねて生地をつくったあとの工程でみかける「この後しばらく寝かせます」という手順の理由をさぐることにしよう。

寝かせろ寝かせろというけれど、じゃあ寝かさなかったらどうなるのか。じっさいにクッキーでためしてみました。

 

クッキーのレシピをダイジェストで

探してきたレシピをもとにクッキーをつくる。まずはとにかく材料をあわせてかき混ぜるのだ。


バターと塩を
かきまぜて
 
さらに砂糖をたす。

卵や

小麦粉もくわえて
 
ひたすらまぜる。

そうしてできた生地がこちら。


いかにもな生地ができた

手元のレシピによると、この生地をこのあと冷蔵庫で1時間寝かせることになっている。しかしその理由はかかれていない。

こどものころは、理由のわからないことであっても、いわれたことには従っていた。舌を抜かれるといわれれば、ウソをつくのをやめようとおもった。

でもぼくは大人になった。理由の分からないことには従いたくない。

だから、この生地は寝かせない。


やわらかくて切りにくい

というわけで、このままレシピの手順をすすむ。

ところが、丸めた生地をクッキーの大きさに切る段階でさっそくバチがあたったようだ。やわらかくて切りにくい。

しかしそれがなんだというのだ。手でちぎって丸め、ふたたび平らに整形すればいいだけのこと。なんの問題もない。

 

焼いてみた

生地をオーブンに入れ、150℃の熱で焼いていく。

バターと砂糖の甘い香りがひっきりになしに漏れてくるオーブンの前で待つこと20分、クッキーがきつね色に焼きあがってきた。


うまそう

見た目は文句なく普通のクッキーだ。

「じつはこいつ寝てないんだぜ」なんてことは、たぶん言わないとわからない。しかし肝心の味はどうだろう。

 

味はどうか

食べてみた。結論からいうと、ふつうだった。

いやいや、たぶん本当は何かが足りないんだろう。食べる人が食べれば分かるはずだ。でも、自分でつくったというひいきめもあってか、ふつうにおいしく感じる。

というわけで、急遽、ふつうに冷蔵庫で1時間寝かせた生地でもあらためて焼いてみた。


焼けました

味を慎重にくらべみる。

・・・。

ちょっとだけクッキーがパリっと焼けている気がする。でもそれは焼き時間の違いなのかもしれない。

うーむ。もっと寝かせれば、違いもより分かるのかもしれませんが・・。

ごめんなさい、失敗でした

もくろみとしては、

・工程の差によってこんなにも味が違う
・だからやっぱり必要なんだ

となることを狙っていたのだけど、あえなく「違いが分からない」という結果になってしまった。

料理下手の味オンチがやる企画ではなかったのでしょうか・・。く、くやしい。

モチモチ感が増すのかな・・。どうだろう。

 

 

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