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コネタ


コネタ338
 
銀座の青汁パフェ

(text by 大塚 幸代

日本人の何%が、青汁を飲んだことがあるんだろうか、とたまに考える。
私が初めて青汁飲んだのは、3年くらい前だ。
渋谷・宮益坂の、渋谷郵便局の手前の路地にある「青汁スタンド」に、知人に連れられて行った。
冬だったと思う。
「この時期は味がまろやかになるので、飲みやすいんですよお〜」
と、店主に言われたような気がする。熱い夏だと、原料のケール=葉っぱが、荒れ狂ったように育つので、苦くなるらしい。
ケールはキャベツの原種で、カルシウム・カロチン・ビタミンCをたっぷり含んでいるそうだ。喘息、胃炎、肝炎、肝硬変、高血圧、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、貧血、神経痛、糖尿病、骨粗鬆症、更年期障害……の改善に効果があるとされている。ま、とにかく身体にいいと。
私はレモン・ハチミツを混ぜて、飲みやすくした初心者タイプのものを頼んだ。ちなみに上級者は混ぜ物なしのストレートを好むらしい。
小さなガラスのコップになみなみと、絵の具を溶かしたような、はっきりとした緑色の液体がつがれる。
思いきって飲んでみると……そんな大変まずいものでもなかった。いわゆる野菜ジュースの延長線上にある味だ。テレビでタレントが「うげー!」なんて過剰なリアクションをするのは、仕事だからなんだなあ、なんて思った。

その青汁をパフェにしてる店が、銀座にあるという噂をきいた。

………えー?

私は変わりアイスクリームが好きだ。今までも「ビールソフトクリーム」やら「わさびアイス」などがメニューにあれば、食べてみないと気が済まない。まあ食べたら食べたで7割くらいの確率で後悔したりしているのだが……やっぱチェックしとかないとだめかしら?

そんなわけで、銀座に行った。




その店は、ファンケルのビル「ファンケルスクエア」の中にあった。その名も「ファンケル カフェ」。

青汁や発芽米など、ヘルシー素材を使ったデザートが売りだという。
真っ白いインテリアの、明るい店内。99%が女性客だ。銀座なので、平均年齢が高い。席はほとんど埋まっている。
清潔な、いかにもカフェ風の制服を来た青年がメニューを持ってくる。
「本日、申し訳ないのですが、青汁スコーンは売り切れてしまいまして……」
人気あるんだなあ青汁デザート、と思いながらパフェを注文。ちなみに名前は「青汁パフェ」ではなく、ケールアイスを使った、小豆と白玉のパフェ、とかなんとかだった。青汁パフェのほうがキャッチーなのに。



で、これが噂の青汁パフェ(通称)。850円と、いいお値段。



青汁のアイス……。

青汁のアイスは、なんだか抹茶アイスに酷似していた。青汁の青臭さが、ほとんどない。さわやか〜な味だ。
小豆も激甘ではなく、上品な味。生クリームも安い植物性のものではなく、動物性をちゃんと使っていて、こちらも上品な甘さだった。もう全体に上品なパフェだったわけだ。

なので、いわゆるパフェを食べたときの「よっしゃ、甘いもの食べたぞー!!」という満足感は得られなかった。そりゃまあ、だったら「シャノアール」とかに行って、ジャンクな「ジャンボパフェ」を食べればいいことなのだけれども。

健康にいいパフェなんて、正直に言えば倒錯してると思う。
でも、そういうの、嫌いではない。

食べてる間、隣に座った主婦らしき2人組の会話が聴こえてしまった。
片方の女性が、ずーーーーーっと、姑や舅の愚痴やら、介護がどうのというヘヴィーな話を機関銃のようにバババババババと話していた。片方の女性は「ふうん」「そうね」「たいへんなんだー」と完全に流していた。

このカフェは、彼女らにとって心地いい空間だったのだろうか。主婦が銀座でお茶って、やはりちょっとスペシャルな日だったに違いない。青汁デザートが目的でやって来たんだろうか。でも悩みごとにまったく親身になってなかったから、別に仲良い友だちってわけじゃないなー、とか、いろいろ考えてしまった。

私も次回は女友だちと行って、ウダウダ喋りながら、青汁を楽しみたいです。



●ファンケルカフェ
 中央区銀座5-8-16
 ファンケルスクエア2F


 

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