数ある行事の中でも、問答無用で夢いっぱいな感じのする年末のイベント・クリスマス。
各地で様々な催しが行われるようだが、今回知ったのは千葉県・富里市で行われる「サンタフェスタ」というイベント。楽しげな地域まつりだ。
そんなイベントだが、プログラムの中に「おもいっきりガラス割り大会」というコーナーを発見。
なんだそれは。クリスマスだしガラスでも割ろうよという呼びかけなのか。一体どういうことになっているのか確かめにレポートしてきました。
(text by 法師丸)
アナーキーな感じのするコーナーが気になるのはさておき、この「サンタフェスタ2004」はあくまで楽しいクリスマスの地域イベント。みんなでサンタクロースの格好をして街を歩いたり、スタンプラリーや抽選会があったりと、楽しいプログラムがいっぱいだ。
写真は、街を練り歩いてきたサンタたちがメイン会場の公園に戻ってきたところ。こういう光景を見ると、年末の忙しさですさんだ心も自然とクリスマス気分にさせられるから不思議だ。
たくさんのサンタクロースが公園内に集結したあとは、ちょうどお昼どきということもあってサンタたちもお食事タイム。たこ焼の列に並ぶサンタ、カツサンドをほおばるサンタ、みんな思い思いだ。
中には働くサンタたちもいる。7分100円という珍しい設定でマッサージをしてくれるサンタは、お客さんの腰や肩をひたすらもんでいた。子供の頃に思っていたサンタ像とはだいぶ違うが、私はもうこんなサンタを見ても傷ついたりはしない大人だ。
会場周辺の違反駐車についてポリスと打ち合わせるサンタも。人々に夢を与えるのも大変だと思う。
いろいろな模擬店のスタッフもサンタルック。若い女性のサンタ姿はやはりかわいらしいが、よくよく見るとフランクフルトを焼いて売っているではないか。
熱い鉄板の上に横たわるフランクフルトを、かわいいサンタがトングでコロコロ。しばらくじっと見ては、たまらない気持ちになってくる。
さて、さまざまに楽しいアトラクションがあるこのイベントだが、本部でもらったプログラムにしっかり「ガラス割り大会」の文字があった。
そんなことおもいっきりやってしまって危なくないのだろうか。そもそもクリスマスにガラス割りって、なんか脈絡があるのだろうか。考えれば考えるほど疑問は深まる。
開催時刻が迫ると、いつの間にかそれらしきセッティングがメインステージの前にできていた。何かを察してなのか、主に子供を中心にどんどんギャラリーも集まってくる。そのうち司会が登場し、ついにおもいっきりガラス割り大会の開催だ。
そして、「それでは、サンタさんにガラスを割ってもらいましょう!」という司会のコールで、ハンマーを手にしたサンタがやってきた。
ガーン! ガーン!
何度もハンマーを振り上げてはガラスに打ち入れるサンタ。しかし、ヒビが細かく入り音こそ鈍く響くも、ガラスは決して完全に割れることはない。どうやら年末の防犯意識向上のために、泥棒対策が施されたガラスのことをアピールするコーナーらしい。
しかし、そういう目的がわかったところで、ガンガンとガラスを割ろうとするサンタのどうかしてるっぷりは損なわれることはない。
頑丈なガラスの前に、ついにギブアップしたサンタクロース。実際かなり本気でやっていたようだが、ハンマーがガラスを貫くことはなかった。サンタのバイオレンスは防犯ガラスに屈したのだ。
「大会」を名乗っているからには、やはりサンタのデモンストレーションだけで終わるわけはない。サンタに続いてガラス割りに挑戦したい人を司会が募ると、かなりの人気が殺到だ。
クリスマスにガラス割る気まんまんの子供たち。もうプレゼントもケーキもいらない、ガラスさえ割れればいい。
しかし、大人でも割ることのできないガラスを子供たちが割れるはずもない。それぞれかなり腰を入れた本気の一撃を打ち込むが、バリーンと割れる爽快感はそこにない。
「はいそこまでー」という司会の言葉に、屈辱的な気持ちになって戻っていく子供たち。
次々と挑戦するも、案の定むなしく終わる。この子たちは大人になっても、2004年のクリスマスのことを覚えてくれているだろうか。「思いっきりやったけど、ガラス割れなかったな」という珍しいクリスマスの思い出を、いつまでも忘れないでいてくれるだろうか。
ヒビだらけのガラスを前に、心の中で叫ぶメリークリスマス。
じっと見ていると、そういえば雪の結晶のようにも見える。そう気づいてしまえば、こんなガラスだって美しいではないか。
●ガラスの強さきわだつクリスマス
今回のイベントをまとめると、こういうことになるかと思う。
・防犯ガラスはすごい
箇条書きでもっと何か書こうと思っていろいろ考えてみたのだが、やはりこの一言に尽きる。シンプルな結論だが、これが2004年のクリスマスで私が学んだことだ。