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コネタ


コネタ332
 
本当にあった怖いネットカフェ

ある日何気なく町を歩いていると、インターネット100円20分と書かれた看板を見つけた。ネットカフェだ。ちょうどそのときオークションをウォッチしていた筆者は経過を知りたくてその店に入ってみた。

するとそこはネット社会の吹き溜まりみたいな場所だったのでした。

怖い話ですので心してお読み下さい。

安藤 昌教

扉を開けるとそこには・・

 

窓がすべてふさがれていて店内は見えません

一昔前のゲームセンターのようです

最近のネットカフェといえば、24時間営業でインターネットはもちろんのことマンガや雑誌にDVD、カップルシートやシャワーなんかも完備されていたりして、もういつまででもいたくなっちゃうような快適空間だ。お金をかけずに夜を明かすために以前はカプセルホテルを愛用していた筆者も、近頃ではもっぱらネットカフェに移行しつつある。

特に泊まる目的がなくても、ネットカフェは暇つぶしにはもってこいだし、出先で手軽にネットに接続できるのはなにかと便利なのだ。筆者もこの日、オークションに入札したまま出かけてしまっていたので経過が気になっていた。そんなときにふと一軒の店に目が留まった。

インターネット100円20分

渡りに船とはこのことではないか。見たところ一昔前のゲームセンターのようにも見えるが、オークションをチェックするだけならばカップルシートもシャワーもいらない。迷わず入店した。


女子トイレみたいです

どこだここは

そんな筆者の期待はドアを開けた瞬間に、もわんと流れ出てきたやばい雰囲気によってかき消された。

店のドアを開けると、白い壁で仕切られたブースが4つあった、そしてそれだけしかない。受付もなければ店員さんもいない。無人なのだ。ちなみに写真のピンクのバケツは灰皿。荒れた女子高のトイレみたいだ。

さらに恐ろしいのは

カチカチカチカチ・・・

一番奥のブースからマウスクリックの音がする。誰かネットしているのだ。


なぜか監視されています

そして天井を見上げるとなぜか監視カメラが目を光らせている。というかそれぞれが仕切られたブースになっているので、監視したところでブースの中までは写らないだろうにいったい何を警戒しているのだろうか。

本当はここで帰るべきだったのかもしれないのだが、好奇心とコネタ探しの意欲に押され調査してみることにした。

びくつきながらも一番手前のブースへと足を踏み入れてみる。ブース内にはパソコンが一台、それと椅子。以上。

パソコンは上においてあるボックスにコインを入れることで起動する仕組みになっているらしかった。旅館とかにある有料チャンネルみたいだ。


お金、入れられず

ところがこのブース、コイン投入口がビニールテープでふさがれているのだ。残念。だけどなんだか安心もした。素直にあきらめて帰ろうかとも思ったが、念のため二番目のブースも覗いてみた。

すると二番目のブースもコイン投入口にはやはりビニールテープが。一瞬タダなのかと思いパソコンの電源ボタンを押してみたが、やはり反応はなかった。

100円、入れられません
隣もやっぱりふさがれています

三番目のブースだけ使うことができました

ここまできたら三番目のブースも覗かざるをえない。期待半分恐れ半分で覗いてみると

使えてしまいそうなのだ。

手前から2つのブースは使えなかった。そして一番奥のブースからはマウスクリックの音が絶えず聞こえてくる。そうなると残るはここ三番目のブースしかないのだが。

怖い。

まるで三番目のなんとかさん、みたいな話じゃないか。モニタから誰か這い出てきたりしないだろうか。ひいいいいい。

恐る恐るコインを投入してみた。

ビニョン、という湿った音と共にモニタの電源が入る。パソコンが立ち上がる間も隣のブースでは絶え間なくマウスクリックの音がしていた。もう怖いので早く帰りたいのだが、このパソコンがまたなかなか立ち上がらないのだ。


立ち上がると同時に警告画面

お金入れても使えず

で、やっと立ち上がったと思ったらいきなりウィルスソフトの期限切れの警告画面が現れた。面倒なのでキャンセルすると、その後次から次へと警告ウィンドウが出る。何かのファイルが足りません、とか何かどこかが壊れています、とか。5つくらい連続でキャンセルすると、突如再起動が始まった。おい。


警告画面、続々と

仕方がないので再起動を待つ間もやっぱり隣からはクリック音が。

肝心のパソコンは、立ち上がったかと思うと同じように警告ウィンドウがいくつか現れ、その後再起動、そのたびに起動の遅さに苛立ち、隣のクリック音に怯える。それを5、6回繰り返した。すると再起動の途中でプツリとモニタが暗くなり、そのままパソコンは息を潜めた。最初に投入した100円で使える20分が経過したのだ。


これが一番奥のブース。張り紙にはCD-Rメディア100円、とあるがどこで売ってもらえるのだろう

命がけのレポートでした

隣のブースからは筆者のいた20分間絶えずマウスのクリック音が聞こえていた。たぶん霊だとは思うが、それにしてもパソコンの調子がよさそうでうらやましかった。

このネットカフェではネットは使えない(というかパソコン自体使えない)とあきらめた筆者は、せめてものコネタに、と店内で何枚か写真を撮り、一番奥のブースをちらちらと覗きつつ店を出ると、しばらくしてものすごく怖そうなお兄さんがきょろきょろしながらドアを開けて中へと入っていった。監視カメラに写っていた筆者をどうにかしようと思ってやって来た刺客に違いない。捕まらなくってよかった。


他にもあるらしいです

後日、沖縄にはこういうスタイルのネットカフェが他にもあるという話を聞いた。チェーン店だろうか。ぜひ探して行ってみたいところだが、そのときは誰かと一緒に行きたいと思います。


 

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