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コネタ


コネタ283
 
不思議な地球料理屋さん

国道沿いにいつも気になる看板があった。
それは「地球料理」。
多国籍料理ならよく目にするが、地球料理…。

その特徴的な外観からも入るのに躊躇していたが、意を決して入ってみたら、そこはとてもゆったりとした空気の流れるお店だった。

佐倉 美穂


まずこの佇まい。
飲食店とはなかなか思えない。初めて入るにはけっこうな勇気が必要だろう。私もそれで気になりつつも入らずにいたのだ。
シボレーのキッチンカーという移動販売で使う車を厨房にし、テントが飲食の場になっている。倉庫やトイレも車だ。

ハーブや様々な植物の生い茂った中を進み、テントに入ると、店内はクラシックな洋装と、意外な調度品達で不思議に調和がとれていた。



ガスマスクと
招き猫が同居するカフェ

オーナー有川さん。
フランスのコルドンブルーという料理学校出身。
でかい扇風機。
左の食器類も売り物。
味わい深い床屋椅子。
何人の人が散髪してもらったのだろう。
豪勢で美味しくて満腹で安い。
たしかに体によさそうなメニュー。
シャンデリアの横に虎。
「またきてね」

オリエンタルな感じの美女、オーナーの有川さんにお話を伺った。

--なぜ地球料理なのですか?
「健康に良い自然のものを使った料理なんですよ。そういったものをアーシーフードというんです。でも車通りの多いところでカタカナの看板出してもあまり見てもらえないでしょう?なので直訳して、地球料理としたわけです」

ほっほー。
メニューを見て、デザートはベトナム風だし、イタリアンだしトムヤムクンだしフォカッチャだしプロバンス風だしで、いろんな国の料理を出すから「地球料理」なのだと勝手に思っていたのだが、そんな深い訳があったとは。

健康的で手作りの料理を、手間ひまかけておいしく提供しよう、と13年前、8席のお店から始めたそう。店に生えているハーブも具材の一つだ。

テントを店舗として有効利用したのは、「面白いかな、と思って。」
ビジュアル的にもこだわりのあるお店かと思ったので、そんな理由とのギャップが素敵。

想像通り初めて入るお客さんは少ないらしく、リピーターがほとんどらしい。
「何度も通りかかって、何屋だろう、って入ってくる方がほとんどなんですよ」
非常に納得。

「地球料理」の看板に一緒についていた「画廊」というのはなんだろう、と思ったら、店の奥のインテリアはアンティークの売り物だった。
でかい扇風機、皮がばりばりの椅子(ヨーロッパの床屋さんの椅子だったそう)。

しかしそれらも以前は客席で使われていたらしい。
「扇風機はそれはもう音が大きくて。椅子も以前は食卓にあって、いつも座るお客さんもいらしたんですよ」

さて、せっかく入店したからには、是非とも料理をいただいてみねば。
お昼だったのでランチセットを注文した。
スープとピエモンテ風鶏の煮込みはスパイシーだった。鶏は辛くない本格カレーのようだ。ぬか漬けあり、グラッセあり、フォークでも箸でも違和感なく食べられる。
小皿のスモークは、この店で燻製にしている、力を入れているメニュー。その芳香に重めの赤ワインが欲しくなる。
茄子はオリーブオイルとバジルで味付け。

家庭で簡単に作れるものではないが、ちょっとした夕食に招かれたような感じだった。
小松菜の煮浸しも親近感を覚える一品。これにデザートとコーヒー飲み放題がついて660円はかなりお得。

オーナーのポリシー通り、健康にも良くて美味しい、しかもお財布にも優しいお店なのだった。リピーターが増えるわけですよ。

地球料理スティンガー

043-244-9911
千葉市美浜区幸町2-7-23
https://park2.wakwak.com/~stinger/index_ie.html

 

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