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コネタ


コネタ213
 
結婚式のいろんな話

知人が「ケーキ入刀」を「ケーキ投入」とタイプミスして、そのまま掲示板に書き込んだ。

そこから膨らむ妄想。
披露宴で飛び交うケーキ。
みんな「こんな披露宴初めて!」なんて白いクリームで笑顔満面だろう。
2次会もみんなで仲良くお風呂だったりしたら、なお親睦も深まるというものだ。

なんてことはあり得ないけれども、それでも想像の及ばない結婚式や披露宴ってあるのではないだろうか。
その道のプロにお話を伺ってきました。

佐倉 美穂

略して幕プリ。バックは海。
後藤さん。「特別な日には特別な力が働くと思います」
サーフボードでおでむかえ
新郎友人がかぶりもの、なんて披露宴も。
和風の演出も流行りらしい

こんな演出はどうだ

行った先は幕張メッセそばの「幕張プリンスホテル」。スタッフの後藤さんにお話を伺ったり現物を見せていただいたりした。

--変わった演出ってありました?
「趣味を押し出す方って多いですよ。サーフィンが趣味の方は、ウェルカムボードをサーフボードで作られたり。」

ウェルカムボードとは「私達の式にようこそ」というような挨拶と案内を兼ねたようなボードだ。
それがサーフボード。趣味と実益がここにあり。しかも唸るようなナイスセンス。

「来週式を挙げられる方はお車が趣味だそうで、披露宴会場に車を3台並べる予定ですよ。以前レースのバイクを置かれた方もいらっしゃいました。」

そう語る後藤さんは、紙に車の配置まで書いて説明して下さった。
これは式場側にとってもかなりの出来事なのだろう。だって、車を入れちゃうんだから。まさか廊下を運転して行くわけもあるまい。
想像もつかないことを、凝る人は実行してしまうのである。

「他にも芳名帳をサインボールにしたり。凝る方は本当に凝りますからね。ハワイで式を挙げられた方が、披露宴会場にヤシの木を立てられたり。
キャンドルサービス代わりに列席者へのサービスとして、自分の趣味の物を配られたり。キン肉マン消しゴムを配られた方もいらっしゃいましたよ。」

列席者のド肝を抜くキン消し。貰ったら…どこに飾ろうか…。

「他にもリカちゃん人形とか、自分達の生まれてきた年代のものですね。懐かしいじゃないですか。」

自分の歴史を配る。そういったものはかなり親しい少人数での宴の時だとか。配られた時の盛り上がり様が目に浮かぶようだ。
喜ぶにしろ苦笑いにしろ、インパクトはかなりでかい。

「当日の御案内がスポーツ新聞調というのもありますよ。『熱愛発覚!本日挙式!』みたいに、本当に新聞紙に印刷されているんですよ。」

うわ、欲しい。誰かそういう式に呼んでくれないだろうか。
結婚業界、知らない世界が広がっているのだと大きく実感(こんなところで)。

「野球場で使うようなビアサーブを新郎が背負って、キャンドルサービス代わりに配ったこともありましたよ。新婦が柿ピーの小袋を添えて。」

笑いが渦巻いたであろう。ドレスアップした二人が配るお茶の間の定番。柿ピーが泣かせるじゃないか。


見た目もめでたい「さくら湯」

これって伝統?

--式の前に列席者にお茶を出さないと聞いた事があるのですが。
「お茶は最初から濁ってるじゃないですか。お茶を濁すともいいますし。なので出さないんです。代わりに『さくら湯』という、お湯に桜の塩漬けを浮かべたものをお出しします。」

飲んでみたが、率直に、うん、これは桜餅だね、という香り。特別なハレの日の飲み物だなあ。


ちょっとした鈍器です

新婦の苦労も涙もの

--式をあげないとわからないようなことってありますか?
「ヒールなんてご覧になるとびっくりしますよ。前はかかとだけ高かったんですけど、今では前も高いですからね。」

衣装室に移動し、実物を見せていただく。 1番高いのが12cmヒール。花魁のようなパンプスだ。
やはり歩くのにもコツがあるようで、ドレスの裾を踏まないように、蹴るように歩くのだそうだ。まるで殿中の武士が長い袴を捌くがごとし。


ドレスも自分一人では着られないので、床にドーナツ状に広げ、そこに下着姿の新婦が飛び込むように入り、着せてもらうのだという。

広げてもらったドレスに
えいやと入る

そしてドレスの重いこと!
衣装室スタッフの方に重量を尋ねると、
「赤ちゃんが3000gくらいよ」
「それよりずっと重いわ」
「米袋が5kg」
「それより重いドレスもあるわよねぇ」
とのこと。
それを身につけて一日笑顔の新婦。もがく足を見せない優雅な水鳥に通じるものがそこにある。


ずらっと並ぶ
ヨロイ…ではなくドレス

密やかに置かれるバケツ

祝い事には酒だろう

実際の披露宴会場に案内してもらった。
新郎には次々と列席者がお酌しに来てくれるが、それを飲み干せるわけもなく、実はテーブル下にこっそりとそれを流すバケツがあるのだ。

「多い方でバケツ3回入れ替えることもありますよ」

祝いの席でお酒をものすごく振舞う。ビールかけを頂点としたその系列に並びそうだ。




やはり人生の数少ない究極とも言える1日、結婚式と披露宴。それぞれに見えない苦労やお楽しみが満載だった。
みんな記憶に残るよう、悔いのないよう、凝りに凝り、スムーズに事が運ぶようになっているのだった。

スポーツ新聞風の披露宴案内、貰ってみたいなあ…。キン肉マン消しゴムは微妙だけれども。

一人用日本酒の樽もかわいらしい

幕張プリンスホテル
 千葉県千葉市美浜区ひび野2-3
 (043)?296-1111


 

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