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スパゲティ「トロイヤン」とは何ぞやん?

ときどきむしょうに食べたくなる「ナポリタン」。ご存知、昔ながらの懐かしいスパゲティメニューだ。でもなぜナポリタンなんだ。イタリアのナポリにはあのようなスパゲティはあるのか?日本で誰がいったい始めたのか?。

同じように、新潟には「イタリアン」という、これまた謎の麺メニュー。うーん、そのぞんさいな(失礼)、というか何か言いたげなネーミング、いかがなものかと思っていたところ、また新たなる謎が。

「トロイヤン」というスパゲティがあるのだ。わたくしもう手に負えません。

乙幡 啓子

その「トロイヤン」を出す店は、なぜか浅草にあった。その名も「キッチン ナポリ」。なるほど、洋食屋さんなのか。洋食で「トロイヤン」ならうなずける。「ヤン」ってところが泣かせるじゃないか。

入ると、中休み中の薄暗い店内に、店主ご夫妻がくつろいでおられた。前もって取材申し込みの電話をしておいたのだが、基本は取材をお断りしてきた、まあ実際いらしてくださいということで、直接うかがったのだ。


下町の洋食屋さん、という感じ。
昭和のたたずまいという感じ。

「うちは、この辺の人たち相手に宣伝せずにこぢんまりやってきたんで、あまり取材されるようなところじゃないんですよ」と笑う奥さん。「今までのお客さん大切にしてきてるからねえ。ここは一見さんもあまりくるようなところじゃないし」とご主人。

でもそこは下町の人、出されたお茶を飲みつつお店の沿革などお聞きするうち、いろいろな話が飛び出す。「ここは居抜き(前の店の内装そのままに商売替えすること)でね、前もナポリっていったんですよ。うちが『キッチン』って上につけただけ」。

そして再度お願いすると、「じゃあ作りましょうか」と、取材OKということになった。トロイヤンが近づいてきた!


ナポリタン、ミートソースの2大巨頭のあとにすぐ「トロイヤン」だ。あ、「イタリヤン」もある!ミートボールもそそられます。
ここもイタリ「ヤ」である。

ところで英和辞典でひくと、「Troy : 小アジア北西部の古代都市」で、当然「Trojan : Troyの」となる。トロイヤンよ、いったい、あんたトロイの何なのか。ご主人に由来など聞いてみると、

「わっかんないんだよねー」ということであった。

ガク。つまり、ご主人は15のときから料理の道に入り、さまざまな師匠についたのだが、あるとき大阪から来た師匠についたときに彼から習ったのだという。

ということは、もしかしたら関西方面に由来があるのかもしれない。


トロイヤンを作るご主人。
トルコライスをこんなところで発見するとは!ウインナーいため、うまそう。

まあ、由来はおいといて、現物を見ていただこう。


これが「トロイヤン」である。ナポリタンの上にオムレツが乗っていると思ってください。

ナポリタンと言ったが、ドミグラスソースもまぶしてあるとのこと。

途中からオムレツと混ぜて食べる。オムレツはトマト、きゅうり、ハム、ピーマン、たまねぎなど具沢山。

麺もオムレツも割とあっさり目の味付け、でも両者を混ぜて食べるとやさしく深い味わい。と普通のレストランガイドのように書いてもいいし、あるいは「このような銀の浅い皿が似合う味」というか。要は庶民的なおいしさということ。また食べに行きたくなってきた。遠いけど・・・。



ところで、なぜオムレツ乗っけて「トロイヤン」なのか。「由来がわかんなくてすいませんねー」と言っていたご主人だが、大阪方面が鍵かも・・・と含みを残すのもいい。

ここに店を構えて36年、近隣の人たちの好みに合わせてメニューをととのえてきたそうだ。遠くまでいかなくても、地道に土地土地で長年がんばっているお店を訪ねると、新しい味の発見があるかもしれないなとまじめに考えてみた。

「豚のからあげ」もいただいた。洋食万歳!
その店はしかし、浅草駅からはるか離れた、表通りから一本入った横道にあるのだ。歩く歩く。

 
キッチン ナポリ
  台東区今戸2-23-10

 

 

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