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コネタ178
 
モンブランは目黒生まれだった

私が子供のころ、ケーキといえば「ショートケーキ」。おりしもバタークリームから生クリームへの過渡期であったが、お誕生日のホールサイズのもイチゴのショートケーキが定番。「モンブラン」その他のケーキは、もっとお姉さんになってから食べるもの、と思っていた。

ぷわぷわのカステラ生地の上に生クリーム、そして子供には遠い存在の、細く和えたマロンクリーム。そんな憧れのモンブランを、今は深夜のコンビニでカップヌードルと一緒に買う私。あれから長い年月が経っていた―。

それはいいとして、すっかりモンブラン好きになった私は、思えば今までいろんなところでモンブランを食べている。コンビニから流行のケーキ店の「スイーツ」まで、もうしょっちゅう。そんな今日この頃、知ったのだ、モンブランの発祥の地が、実は東京は自由ヶ丘にあることを。

乙幡 啓子

前置きが長くなった。その発祥のケーキ屋さんだが、その名もなんと「モンブラン」という。モンブラン発祥の店がモンブラン・・・スイススイスした雰囲気が感じられ、現在日本で見るようなモンブランとは違った、もっとヨーロッパの、なんというか、甘々した、もう「これがほんとのモンブラン??ぜんぜんちがーう!」というようなものを想像していたのだが、ポッと出されたものはこれ。
老舗、という感じのたたずまい。



あれ?今見られるモンブランと、外見はあまり変わらず。強いて言えば、上に乗った白いものが、本物の雪のようではある。
あ、セットの飲み物はあえて抹茶で試してみました。

これが、本家のモンブランなんだ・・・と、フォークを突き立てる。


一口目。さてどんな・・・。
断面図。カスタード発見しました!
上の白雪は指でつかめる。
見えにくいが中にもちゃんと栗が。

上の白雪は指でつかめる。

上に乗った白雪は、見た目と違いサクッとした歯ざわりで、口に含むとシュッと溶ける。駄菓子のような懐かしい甘さ。そう、全体的に懐かしい味だ。カステラとクリームが溶け合って、やさしい味だ。むわーんと、口いっぱいに含んで幸せー。・・・というまに全部食べちゃった。

あー、紙についたカステラ、こそげ取りたい!惜しい!これだけ10枚入りで売ってたら買うかもしれないと思うのは私だけか?


3代目の奥様という迫田さんにお話を伺う。お店の初代主人が登山好きで、たまたま出かけたスイスのモンブラン峰近くのお店で「モンブラン」というお菓子に出会ったのだという。そのスイスのは「クリームの上に栗の乗ったデザート」だったらしい。下地無しでいきなりクリーム。よくわからないが、やはりヨーロッパは遠いところだ、と思う。

モンブラン峰とそのお菓子に刺激され、初代はなんとスイス大使館に許可を得て、モンブランと同名のお店を日本に出店。そして日本人にあわせて考案されたのが、この本家「モンブラン」だという。昭和初期の頃だ。上に乗った、メレンゲを固めた白い円盤は「モンブラン峰の万年雪」を、すそ野のマロンクリームは「岩肌」を表しているのだという。

本家にはこんな由来があったのだ。いまやコンビニの定番になっているこのお菓子、各地でいろいろな形に姿を変えているが、元はこのお店、その名も「モンブラン」から広がっていったのです。



昔からのファンも多いこのお店。支店を出さず自由ヶ丘だけで、自然素材にこだわりやってきた。

今なら、ベルギーを中心に活躍している日本人パティシエの新作ケーキや、懐かしの復刻版ケーキがとてもお得にいただけます。しかもビュッフェスタイル。そんな「秋のスペシャルデー」は、10月11日(月)まで。

ビュッフェ・・・。
モンブラン
 目黒区自由ヶ丘1-29-3
 03-3723-1181

 

 

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