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コネタ


コネタ122
 
外来種と呼ばれる魚達がいる

きっかけは近所の図書館に張られた一枚のポスターだった。ポップな色合いの割りに悲しげな表情をしたカエルと、その横に書かれたキャッチコピー「連れてこられただけなのに・・・」。何か突き動かされるものを感じた筆者はポスターに書かれた詳細を確認した。どうやら美ら海(ちゅらうみ)水族館で「沖縄の外来種展」という展示会が行われているらしい。外来種に関して特に入れ込みがあるわけでもないのだが、このポスターを見てしまったからには行かざるをえないような気がした。ということで夏休み最後の日にちょっと遠出して見に行ってきました。


安藤 昌教



ものすごく説得力のあるポスター

無事にチケットをゲット

まずはチケットをゲットだ

近所のスーパーで水族館のチケットが安く買えるらしいと聞いた筆者は朝一でそのスーパーに向かった。

「あの、水族館のチケットを買えると聞いたんですが」
「えー、少々お待ち下さい・・」

若い店員さんは困った顔をして隣のレジで働いていたベテランっぽいおばさんに相談していた。おばさんは少しレジ周りを探した後どこかへ電話をしはじめた。その間二つのレジの業務は滞り並ぶ人の列は徐々に長くなる。ごめんなさいもしかして面倒なこと頼んでしまいましたか。


5分位してどこか店の奥のほうからネクタイを締めた男の人がチケットを持って現れた。

「お待たせいたしました、1620円になります」

なんだこの仰々しさは。180円ケチるために朝からたくさんの人に迷惑をかけてしまった。なにはともあれ無事チケットは入手できたし気を取り直して一路水族館へと向かった。


水族館は大賑わい

夏休みの水族館は人人人

夏休み最後の日ということもあり、水族館はすごい人出だった。入り口近くの「海辺の生き物を触れる水槽」では、子供達が大はしゃぎでヒトデとかイソギンチャクとかを触っていた。

筆者も当然触りたかったのだが、今日は外来種展を見に来たのだ。まずはそちらで写真を撮り終えてからにしよう、と我慢しながら小走りで歓声の取り巻く水槽を後にした。

魚泳ぎまくり

館内中央、大きなジンベイザメが優雅に泳ぎ回る大水槽は世界一の厚さを誇るアクリルパネルで作られているという。たくさんの人たちが水中の大パノラマに感動し立ち尽くしている中、筆者はいそいそと外来種展へと向かう。

外来種展はイベントホールで開かれているらしいのだが、どこなのだろうイベントホールって。

アンコウかっこいいー

見たい誘惑を抑えつつ会場を探す

大水槽の脇を抜けて進むと深海探検の部屋へと続くわき道があった。看板には仏頂面のチョウチンアンコウが描かれている。筆者の感性からして直球ど真ん中だ。すごい見たい。外来種展で写真を撮り終えたら必ず戻ってこようと思った。

あれ、売店?

館内を順路に沿って小走りに進むと急に視界が明るく開けた。あれ、売店だ。

あれ、出口?

あれ、出口だ

売店の横はすでに出口だった。イベントホールはどこだったんだろう。焦って走ったので見落としてしまったのだろうか。出口案内所で係員さんに聞いてみた。

「あの、外来種展というのをやっていると聞いてきたのですが」
「あ、それでしたらこちら出られて左手になります」

出るんですか。水族館の外でやっていたんですか。朝っぱらからスーパーでたくさんの人に迷惑をかけながら割引チケットを買って深海魚も我慢して探したのに外でやっていたんですか。

筆者は一人灰のようになりながら水族館を後にした。


あ、ポスター発見

水族館を出て言われたとおりに左に曲がると、筆者が図書館で見たのと同じポスターが貼られていた。横にはおばちゃんが立っている。

「外来種展て、こっちですか」
「ありがとうございます、こちらエスカレーター上っていただいてすぐイベントホールがございます」

というか筆者は今朝そのエスカレーターを下って水族館に入ったのだ。どうしてイベントホールを見落としていたのだろうか。そんな自分が激しく悔しかった。


やっと見つけたイベントホール

ついにイベントホール発見

イベントホールは大迫力の水族館に比べてずいぶん控えめなホールだった。これは見落としてしまった自分も責められない。

なにはともあれようやくたどりついたのだ。今回の目的、沖縄の外来種展へ入場だ。



外来種展を見学する

ホールに入るやいなや、小さめの水槽がいくつも並んでいた。そしてそれぞれに説明がなされている。

外来種というのはその名の通り、外国から日本に持ち込まれて野生化してしまった種のこと。「連れてこられただけなのに・・」というカエルの言葉どおり、もとはといえば食用や観賞用などの目的で人間が持ち込んだものなのだ。それらが野生化して元から日本にいた種(在来種という)の生態系を乱している。事の発端は人間にあるのだ。


ブラックバスとブルーギル。代表的な外来種だ。筆者も以前は夢中になって釣っていた。
ウシガエルも外来種だったのか。知らなかった。よく田舎道で車に轢かれてぺったんこになってしまっているカエルだ。
スッポンはすでに鍋で飼われていた。いくらなんでもそれはあんまりだろう。食用として持ち込まれたものが野生化したのが始まり。
こちら最近よく耳にするカミツキガメ。ガメラみたいにどすのきいた顔をしていた。大きくなると凶暴になり何にでも噛み付いてしまうらしい。
入り口付近につるされたミドリガメの張りぼて。結構リアルです。

会場の随所に見える手作り感が高校の文化祭に出展している生物部のブースという雰囲気でうれしかった。入場もなんと無料。だけどビッグスケールの水族館を見てからこちらに来たほうが、なにか裏と表を全て見られたような気がしてお得だ。

パネルの上からのぞく巨大なザリガニのはさみと足
魚の張りぼて、宙吊り

記念品欲しさにクイズに挑戦します

クイズに答えて記念品をゲット

出口でクイズとアンケートに答えると記念品がもらえると聞いたので早速挑戦することに。クイズは展示を見ていればすべてわかる問題ばかりだった。

次の中で外来種はどれでしょう?
1.イシカワガエル
2.スッポン
3.メダカ

答えはスッポン。鍋に入っていた、スッポン。

メッセージ性の強いステッカーを頂いた

で頂いた記念品がこれ。ブルーのザリガニが「放さないで!」と悲痛な叫びを上げている。激レアアイテムなので早速車にでも張りたいと思う。。

展示会に来て知る事実

意見の秀逸なアンケートは壁に張り出されていた。その中に「自分の家にいたメダカはタップミノーだと判明」という悲しい話があった。筆者も昔コオロギだと思ってゴキブリを大切に飼っていたことがある。そのコオロギという名のゴキブリがやがて死んでしまったとき、幼い筆者は泣きながら「コオロギさんのお墓」を庭に作ってあげた。母は全てを知っていた。



メダカは在来種

考えさせられました

外来種と呼ばれる種はもとはといえば全て人間の勝手により持ち込まれたものだった。そうやって自然界にもたらされた変化を元に戻すことは大変難しいのだという。これはもう地球規模の問題なのです。せっかくチケット買って入った水族館まったく見てないじゃん、とか小さいことぬかしてる場合ではないのだ。沖縄の外来種展は夏休みの最後の日にふさわしい考えさせられる内容の展示会でした。


 

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